「IBを取ったら、日本の大学にはどうやって入るの?」

IB生なら一度は考える問いだと思います。結論から言うと、日本ではIBディプロマを活用した入試を実施している大学が急速に増えていて、文部科学省IB教育推進コンソーシアムによると国公立・私立合わせて82校がIB入試を導入しています(国立27校、公立8校、私立47校)。東大・京大を含む旧帝大全校、早慶上智、医学部まで、IB生の選択肢はかなり広いのが現状です。

この記事では、IB入試の仕組みから主要大学ごとの特徴、スコアの目安、そして合格のための準備まで、IB卒業生の視点でまとめました。

注意: IB入試の対象学部・出願条件・スコア要件は年度ごとに変更されます。この記事は2026年4月時点の情報に基づいています。出願前に必ず各大学の最新の募集要項をご確認ください。最も正確な情報はIB教育推進コンソーシアムの公式ページで確認できます。

IB入試とは? 一般入試との違い

IB入試とは、IBディプロマ(IB Diploma Programme)のスコアや学習成果を活用して出願できる特別な入試制度です。大学によって「国際バカロレア入試」「IB特別選抜」「国際バカロレア選抜」など名称は異なりますが、基本的な仕組みは共通しています。

一般入試との主な違い

項目IB入試一般入試
共通テスト多くの大学で不要必須
選考方法書類審査+面接+小論文が中心ペーパーテストが中心
出願時期8-11月が多い(一般入試より早い)1-2月
評価対象IBスコア、EE、TOK、CAS、志望理由書試験の点数
併願一般入試との併願が可能な大学が多い

IB入試の大きなメリットは、共通テストが不要な大学が多いこと。IB最終試験の勉強と共通テスト対策を並行するのは正直きついので、IB入試を活用できるのはかなり大きいです。

IB入試の出願の流れ

IBの最終試験が5月(May Session)の場合、一般的な流れはこうなります。

  1. 4-5月: IB最終試験
  2. 6月: 志望校リストの確定、出願書類の準備開始
  3. 7月初旬: IBスコア発表(通常7月5日頃)
  4. 8-10月: IB入試の出願(大学により異なる)
  5. 10-12月: 面接・小論文試験
  6. 12-2月: 合格発表

ただし、大学によってはPredicted Grade(予測スコア)で出願できるケースもあります。早めに志望校の出願時期を調べておくことが大切です。

11月受験生(November Session)の場合、出願可能な大学は限定的です。詳しくはIB入試で出願できる国内大学一覧をご覧ください。

IB入試のスコア目安 — 大学ランク別

「IBスコアは何点あれば安心?」というのはIB生の永遠の疑問です。大学や学部によって異なりますが、おおまかな目安をまとめます。

IBスコア帯出願可能な大学の傾向
38点以上東大・京大・旧帝大医学部(東北大医学部は38点が出願条件)
34-37点旧帝大の多くの学部、早稲田、慶應
30-33点上智、ICU、GMARCH上位、地方国立大学
26-29点多くの私立大学、一部の地方国立大学
24-25点一部の私立大学で出願可能な場合がある

大事なポイント: 上の表はあくまで傾向です。多くの大学ではIBスコアだけでなく、面接や志望理由書も含めた総合評価で合否を判定します。スコアが少し足りなくても、面接やEEの内容で逆転できることはあります。逆に、スコアが高くても面接で落ちることもあるので、バランスの取れた準備が重要です。

IBスコア別のより詳しい大学情報はIBスコア別・行ける大学完全ガイドもあわせて参考にしてください。

主要大学のIB入試情報

ここからは、IB生に人気の主要大学のIB入試情報を個別に解説します。

東京大学

東京大学では、IB生が出願できる入試制度として「外国学校卒業学生特別選考」があります。これは第1種(私費留学生)と第2種(帰国生徒)に分かれており、IBディプロマ取得者は基礎資格として出願可能です。

2026年度の出願スケジュールは、インターネット入学志願票の作成期間が2025年11月17日(月)正午から12月5日(金)17時まで。紙媒体での出願書類の郵送も必要です。選考は書類審査と面接で行われ、全科類(文科一類から理科三類まで)が対象です。

なお、学部英語コース特別選考(PEAK)は2026年9月入学者の選抜をもって募集を終了します。PEAKを検討している方は、これが最後のチャンスです。

東大はIBスコアの最低点を公表していませんが、合格者のスコアは高水準と言われています。詳細は東京大学 外国学校卒業学生特別選考をご確認ください。

京都大学

京都大学では「特色入試」の枠組みでIBスコアを活用できます。特徴的なのは、大学入学共通テストの成績の代わりにIBディプロマスコアを参考にできる点です。Predicted Gradeで出願する場合は、最終スコアを後日提出する形になります。

対象学部は年度によって異なりますが、複数の学部で実施されています。出願資格として、国内のIB認定校(DP)の卒業者または卒業見込み者であることが求められます。学部ごとに出願条件が異なるため、各学部の募集要項を個別に確認する必要があります。

京大の特色入試は書類審査に加えて、学部によって口頭試問や論文試験が課されます。IBで鍛えた批判的思考力やプレゼン力が活きる入試形式です。詳細は京都大学 特色入試をご確認ください。

早稲田大学

早稲田大学は「IB入試」という名称の専用入試は実施していませんが、IB生が出願できる入試制度が複数あります。特に注目は**英語学位プログラム(English-based Undergraduate Programs)**です。

IBスコアで出願可能な主な学部・プログラム:

  • 政治経済学部(SPSE) — 英語学位プログラム
  • 社会科学部(TAISI) — 英語学位プログラム
  • 国際教養学部(SILS) — AO入試でIBスコア活用可能
  • 文化構想学部(JCulP) — 英語学位プログラム
  • 基幹理工学部 — 英語学位プログラム
  • 創造理工学部 — 英語学位プログラム

英語学位プログラムでは、IBスコアやエッセイ、推薦状で書類選考が行われます。日本語と英語のどちらで学びたいかによって選択肢が変わるので、各プログラムの授業言語をよく確認してください。

また、教育学部の一部学科では帰国生入学試験も実施されています。詳細は早稲田大学 入学案内をご確認ください。

慶應義塾大学

慶應義塾大学のIB入試で押さえておくべきポイントは大きく2つあります。

1. IB入試(法学部)

慶應で「国際バカロレア入試」の名称で実施しているのは法学部のみ(法律学科・政治学科 各約10名)です。出願資格は、日本国内の高等学校または日本国内のインターナショナルスクールでIBディプロマを取得済みの方。注意点として、取得見込み(Predicted Grade)では出願できません。また、日本国外でIBディプロマを取得した方は帰国生入試での出願となります。

2. PEARL(経済学部 英語学位プログラム)

経済学部のPEARL(Programme in Economics for Alliances, Research and Leadership)は、全て英語で経済学を学べるプログラムです。IBスコアまたはPredicted Gradeで出願可能。9月入学で、出願期間が3回(10月・12月・2月頃)設けられています。5年で学士と修士を取得できるのも魅力です。

その他、総合政策学部や環境情報学部のAO入試でもIBの学習経験をアピールできます。詳細は慶應義塾大学 IB入試をご確認ください。

上智大学

上智大学はIB生にとって非常に出願しやすい大学の一つです。理由は、国際教養学部を除く全学部・全学科で国際バカロレア入試を実施しているから。募集は第1期と第2期の2回あります。

第1期募集: 国内外のインターナショナルスクールや海外IB認定校の出身者が対象

第2期募集: 日本の学校教育法第1条に規定する高等学校で、IB認定校の出身者が対象。出願時にIBディプロマを取得済みであることが条件

選考では、IBスコアに加えて、主体的に学ぶ意欲や語学力を含むコミュニケーション能力が評価されます。各学科ごとに指定のIB科目や成績基準が設定されているので、志望学科の要件を早めに確認しておきましょう。

上智はIB生の受け入れに積極的で、IB入試の募集枠も比較的多いです。詳細は上智大学 IB入学試験をご確認ください。

国際基督教大学(ICU)

ICUはリベラルアーツ教育で知られる大学で、IB生との相性は抜群です。総合型選抜の中に「IBDP利用」の枠があり、教養学部(アーツ・サイエンス学科)で出願できます。

出願条件は、IBディプロマ取得(見込み)で、かつ「日本語A」を履修済み(または履修中)であること。出願書類として、志望理由、学校内外の自己活動歴と自己分析、Extended Essay(課題論文)の内容と成果の要約(1500字以内)などが求められます。

CASの取り組みについても記述する機会があるので、IBでの課外活動経験を存分にアピールできる入試です。IBの学びがそのまま出願書類に活きるのがICUのIB入試の特徴と言えます。詳細はICU 入試情報をご確認ください。

東北大学

東北大学は旧帝大の中でもIB入試に積極的な大学です。国際バカロレア入試として、文学部、法学部、理学部、医学部医学科などで募集を行っています。

特に注目すべきは医学部医学科のIB入試。出願条件としてIBスコア38点以上が明記されています。さらに、日本語と英語の両方について履修・成績の要件があります。具体的には、日本語を母語とする者、日本語Aを履修した者、又は日本語B(HL)で成績評価6以上もしくは日本語B(SL)で7の者。英語についても、英語Aを履修した者、又は英語B(HL)で5以上もしくは英語B(SL)で6以上の者、という条件が設定されています。

医学部以外の学部でも出願可能ですが、学部ごとに求められるIB科目や成績基準が異なります。詳細は東北大学 特別入試をご確認ください。

大阪大学

大阪大学は2026年度(令和8年度)の総合型選抜で、文・人間科・外国語・法・経済・理・歯・工・医・薬・基礎工と、非常に多くの学部でIB資格を活用した出願が可能です。

出願に際しては、国際バカロレア資格証書のコピーと最終試験6科目の成績評価証明書の原本が必要です。取得見込みの場合はPredicted Gradeを仮提出し、期限内(2026年1月21日まで)に正式書類を提出できない場合は合格判定の対象外となります。

幅広い学部で出願できるのは大きなメリットです。理系学部を含む選択肢の豊富さは、旧帝大の中でもトップクラスと言えます。詳細は大阪大学 総合型選抜サイトをご確認ください。

筑波大学

筑波大学のIB特別入試は、7月募集と10月募集の2回実施されるのが特徴です。

7月募集(4月入学): IBディプロマ取得済みの方が対象(取得見込みでは出願不可)。人間学群(教育学類・心理学類・障害科学類)と医学群(医学類)が対象です。

10月募集(4月入学): 全学群・学類が対象で、取得見込みの段階でも出願可能。選択肢が広いのはこちらです。

2026年度からの重要な変更点として、数学(HL)を必須としている学類では、Mathematics AA(HL)のみが対象となり、Mathematics AI(HL)では出願できなくなりました。理系学類を志望する方は科目選択に注意してください。

医学類のIB入試があるのは筑波大学の大きな特徴です。選考ではIBスコアに加え、EE、TOK、CASの内容も評価されます。詳細は筑波大学 入試情報サイトをご確認ください。

医学部のIB入試

IB入試で医学部を目指すIB生にとって、選択肢は限られますが確実に存在します。

IB入試で医学部に出願可能な主な大学:

大学名ポイント
東北大学 医学部医学科IBスコア38点以上が出願条件
筑波大学 医学群医学類7月募集・10月募集の2回。Mathematics AA(HL)必須
東京科学大学(旧 東京医科歯科大学)国際バカロレア選抜を実施。EE、TOK、CASの内容も評価
岡山大学 医学部医学科IBスコア39点以上が出願条件
横浜市立大学 医学部医学科国際バカロレア特別選抜あり
広島大学 医学部IB入試で医学部を含む
鹿児島大学 医学部IB入試で医学部を含む

医学部のIB入試は高いスコアが求められる傾向にあります。東北大学は38点以上、岡山大学は39点以上と、明確に基準が公表されています。Math AA(HL)やScience系のHLが求められることも多いので、科目選択の段階から計画的に準備することが重要です。

なお、金沢大学はIB入試を実施していますが、医学類は対象外です。大学名だけで判断せず、必ず対象学部を確認してください。

IB入試で成功するための5つの準備

1. Predicted Grade(予測スコア)を最大限に高める

多くの大学はPredicted Grade(学校が出す予測スコア)を基に出願可否を判断します。最終試験前に出願するケースでは、Predicted Gradeが実質的な合否の鍵になります。

Predicted Gradeを上げるには、Year 1からのIA(Internal Assessment)やクラスでの日常的なパフォーマンスが大切です。最終試験の直前だけ頑張っても、Predicted Gradeには反映されません。

2. EEとTOKのボーナスポイントを確実に取る

EE(Extended Essay)とTOK(Theory of Knowledge)で得られるボーナスポイントは最大3点。「たかが3点」と思うかもしれませんが、IBスコア36点と39点では出願できる大学のランクが変わります。特に医学部を目指す場合、この3点は絶対に落とせません。

EEはテーマ選びの段階から勝負が始まっています。自分が本当に興味のあるテーマを選ぶことで、深い研究ができ、面接で聞かれたときにも自信を持って答えられます。

3. 面接対策を早めに始める

IB入試のほとんどで面接が課されます。面接では「なぜこの大学を志望するのか」「IBで何を学んだか」「EEのテーマをどう選んだか」といった質問が定番です。

IBで培ったプレゼン力や批判的思考力は面接で大きな武器になりますが、それでも練習は必要です。友人や家族、先生に模擬面接をお願いして、繰り返し練習しましょう。

4. 志望理由書は「IBの経験」と「大学での学び」を接続する

志望理由書で差がつくのは、自分のIBでの学びと大学で何を学びたいかが自然につながっているかどうかです。例えば、EEのテーマから発展して大学で研究したいことがある、CASの活動を通じて見つけた問題意識を学問的に追求したい、など。

「IBで頑張りました」だけでは弱い。IBの経験が、なぜその大学のその学部でなければならないのか、という必然性まで書けるとベストです。

5. 一般入試との併願戦略を立てる

IB入試だけに賭けるのはリスクがあります。IB入試で確実に受かりそうな大学(安全校)と、挑戦したい大学(チャレンジ校)を組み合わせましょう。また、IB入試の結果が出る前に一般入試や総合型選抜の準備も並行しておくと安心です。

IBスコアアップのためにできること

IB入試で良い結果を出すには、当然ながらIBスコアそのものを上げることが最も効果的です。

科目別のスコアアップ戦略:

  • IA(Internal Assessment)を確実にスコア源にする — IAは自分のペースで準備できる分、時間をかければかけるほど点数が取れます。最終試験で予想外の結果になったとき、IAの点数が助けになることも多いです

  • Past Paperを繰り返し解く — IBの最終試験は出題パターンがある程度決まっています。過去問を5年分以上解いて、出題の傾向をつかみましょう

  • マークスキームを読み込む — IBの採点は独特です。「何を書けば点がもらえるか」をマークスキームから学ぶことで、効率的にスコアアップできます

  • TOKとEEの3点を確保する — 前述の通り、ボーナスポイントは「おまけ」ではなく戦略的に取りに行くもの

IBスコアの上げ方についてもっと詳しく知りたい方はIBスコアを上げる方法もあわせてどうぞ。

まとめ

  • IB入試を導入している日本の大学は82校(国立27校・公立8校・私立47校)
  • 東大・京大を含む旧帝大全校でIB活用入試を実施
  • 早稲田は英語学位プログラム、慶應は法学部IB入試+PEARL、上智は全学部で対応
  • 医学部も東北大・筑波大・東京科学大・岡山大などで出願可能
  • 共通テスト不要の大学が多く、一般入試との併願も可能
  • スコアだけでなく、面接・志望理由書・EE/TOK/CASも含めた総合評価
  • 対象学部・出願条件は年度で変わるため、必ず最新の募集要項を確認すること

IB入試は、IBで頑張ってきた時間がそのまま受験に活きる制度です。スコアアップと出願準備を計画的に進めれば、一般入試では届かないような大学にもチャレンジできます。

IB入試で出願可能な全大学のリストはIB入試で出願できる国内大学一覧をご覧ください。


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