「IBにはDP・MYP・PYPの他にCP(キャリア関連プログラム)があるって聞いたけど、内容が日本語で分かりやすくまとまっている記事が少ない」

IB Career-related Programme(CP)は、IBの4つのプログラムの中でもっとも新しく、もっとも知名度が低いプログラムです。しかし2025年8月から新しいCore構成に切り替わり、2027年5月のFirst Assessmentに向けて世界的な再注目が進んでいます。

この記事では、IBO(International Baccalaureate Organization)公式情報と文部科学省・IB教育推進コンソーシアムのデータに基づき、CPの全体像・新しいCore4要素・日本での認定校状況・DPとの違い・進路メリットをまとめます。

目次

IB CPとは何か

CP(Career-related Programme)は、16〜19歳を対象としたIBの4つ目のプログラムで、学術的な学び(IB DP科目)と、特定のキャリア領域に関する学び(Career-related Studies)を組み合わせることを特徴としています。

DPがすべての科目をIB提供のシラバスで学ぶのに対し、CPはIB DPから最低2科目を選択し、それに加えて学校が選んだ職業教育プログラム(例:BTEC、TAFE、専門学校コースなど)を組み合わせる、いわゆる**「アカデミック+職業教育」のハイブリッドモデル**です。

CPは2012年に正式ローンチされた比較的新しいプログラムで、IBOによれば、医療、IT、ホスピタリティ、ビジネス、エンジニアリング、芸術など幅広いキャリア領域での履修が想定されています。

DP・MYP・PYPとの違い

IBの4つのプログラムを整理すると、対象年齢と目的が異なります。

  • PYP(Primary Years Programme):3〜12歳。探究学習の基礎を作る。
  • MYP(Middle Years Programme):11〜16歳。8つの教科群を学際的に学ぶ。
  • DP(Diploma Programme):16〜19歳。大学進学を意識したアカデミックプログラム。
  • CP(Career-related Programme):16〜19歳。アカデミックに加えてキャリア教育を組み合わせる。

DPがすべての教科群を網羅し総合的な学力を測るのに対し、CPは**「やりたい職業領域がすでに見えている生徒」**に向いています。

たとえば「ホテル経営に進みたいから、DP経営学+ホスピタリティ専門資格を組み合わせたい」「ITエンジニアになりたいからDPコンピューターサイエンス+業界資格を取りたい」といった目的志向のIB履修が可能です。

CPは3つの柱で構成されます。

1. DP courses(最低2科目):DP標準シラバスから少なくとも2科目を選びます。HLとSLどちらでも履修可能です。

2. Career-related Study(CRS):学校が定める職業関連の学習プログラム。各国で内容は異なり、英国ならBTEC、オーストラリアならTAFEなどが代表例です。

3. CP Core(4要素):CP独自の必修コア。2025年8月から新シラバスに完全移行しました。

このうちCP Coreが、DPでいう「TOK+EE+CAS」に相当する位置付けです。

新CP Core 4要素(2025年新シラバス)

IBO公式情報によると、2025年2月にCP Coreの新構成が正式発表され、2025年8月から世界中の認定校で順次スタート、First AssessmentはMay 2027です。新しいCoreは次の4要素で構成されます。

1. Personal and Professional Skills(PPS) キャリアと自己成長に関わるトランスバーサルスキル(横断的スキル)を、探究学習を通じて育成する必修科目。倫理、コミュニケーション、思考スキル、自己管理などを扱います。

2. Language and Cultural Studies(LCS) 旧Language Developmentから名称・内容ともに刷新された要素で、自分の言語的・文化的レパートリーを広げる学びです。バイリンガル/マルチリンガル環境にいる生徒の自己理解にも繋がります。

3. Community Engagement 旧Service Learningに代わる新要素。地域社会の課題を理解し、知識・スキルを応用する場を提供します。DPのCASに近い位置付けですが、より「キャリアに繋がる地域参加」を意識した設計です。

4. Reflective Project キャリア関連領域における倫理的ジレンマを独立した形で探究する長期プロジェクト。文章、口頭、視覚、視聴覚など多様な発表形式が認められており、生徒の主体性を強く尊重するのが特徴です。DPのEEに似ますが、テーマは「倫理的ジレンマ」に明確に限定されている点が独自です。

新Core切り替えに伴い、2024年以前のSL「Service Learning」「Language Development」「Personal and Professional Skills」「Reflective Project」の旧4構成は段階的に終了します。

日本でのIB CP認定校

IB教育推進コンソーシアム(文部科学省支援)のデータによれば、2024年12月31日時点で日本国内のIB CP認定校は1校のみです。

  • 長野日本大学高等学校:日本初のIB CP認定校。

参考までに同時点での日本国内のIB認定校総数は260校(PYP85校、MYP47校、DP79校、CP1校)。CPは認知度・実施校数ともにまだ大きな伸びしろがある領域です。

世界全体ではCP認定校は400校超に拡大しており、英国・米国・カナダ・オーストラリアを中心に普及しています。

評価とBilingual CP Certificate

CPは、DPと異なり「45点満点」というスコアリングではありません。Course-by-course評価で、DP科目は1〜7、Reflective Projectは A〜E のレターグレードで評価されます。最終的に「IB Career-related Programme Certificate」が授与される形式です。

CPの修了要件は次の通りです(IBO公式)。

  • DP科目最低2科目を履修・受験
  • Career-related Studyを修了
  • CP Core 4要素すべてを完遂
  • Reflective Projectで「D以上」のグレード
  • Personal and Professional Skills、Language and Cultural Studies、Community Engagementの完了証明

加えて、DP科目とCRSの両方を異なる言語で履修した場合、Bilingual CP Certificateが発行されることがあります(DPのBilingual Diplomaと類似制度)。

CPを選ぶメリットと注意点

CPを選ぶ主なメリットは次の通りです。

  • キャリア志向の早期実現:ホテル経営、IT、看護、芸術など、特定領域の職業教育を高校段階から受けられる。
  • DP科目を絞れる柔軟性:DPフル履修が難しい生徒でも、興味のある2科目だけIB標準で学べる。
  • Reflective Projectで実社会の倫理的ジレンマを探究できる稀有な機会。
  • 大学入学資格としての国際的認知:英国、米国、欧州を中心にCPは大学進学資格として認知されており、Career-related Studiesによっては職業資格としてもダイレクトに評価される。

一方で注意点もあります。

  • 日本の大学入試では認知度が低い:DP IB入試枠は確立しているが、CPの認知度は限定的。志望校が決まっている場合、CPを評価してくれる入試制度があるか事前確認が必要です。
  • 学校選択肢が限定的:認定校が少ないため、通学範囲内に提供校がないケースも多い。
  • CRSの質が学校により大きく異なる:CRSは各校が選定するため、提供内容・質・進路接続の度合いに学校差が出ます。

進路の方向性が早期に明確で、かつDP6科目すべてを学術的にこなすよりも「アカデミック+実践」を組み合わせたい生徒にとって、CPは魅力的な選択肢です。

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出典

  • International Baccalaureate Organization (IBO) — Career-related Programme公式ページ(https://www.ibo.org/programmes/career-related-programme/
  • IBO — CP Core components updates(First teaching 2025、First assessment 2027)
  • IBO — Career-related Programme Assessment procedures 2026
  • 文部科学省 IB教育推進コンソーシアム「IB認定校・候補校」(2024年12月31日時点データ)