「医学部志望でHLはMath・Chem・Bioで考えているけど、Bioの代わりにPhysicsに変えるか迷っている。医学部入試ではどちらが有利?」
このようにBio vs Physicsで悩むIB生はとても多いです。結論から言うと、日本・英国いずれの医学部でも、Physics HLでも医学部出願は可能です。ただし、大学入学後の学びやすさ、7取得のしやすさを含めて総合的に判断する必要があります。
この記事では、実際の医学部IB入試要件(横浜市立大学、愛知医科大学、UCL、Cambridge等)をもとに、Biology・Physicsそれぞれを選ぶ場合の戦略を整理します。
目次
- 日本の医学部IB入試の科目要件(公式情報)
- 英国医学部の科目要件(UCL・Cambridge等)
- Biology HL を選ぶメリットとデメリット
- Physics HL を選ぶメリットとデメリット
- 判断の軸:短期の得点 vs 長期の学び
- MathがAAかAIかによる影響
- 選び直す判断材料:DP1終了時点でのスコア
- IBの勉強でお悩みですか?
日本の医学部IB入試の科目要件(公式情報)
日本国内の医学部82校のうち、IBスコアを利用した入試制度を設けている医学部は約24校です(2024年度時点)。科目要件は大学ごとに異なりますが、代表例を以下に示します。
横浜市立大学医学科(2026年度)
- 総合スコア40以上
- 物理・化学・生物から2科目および数学の3科目を履修
- うち1科目はHL評価5以上
- 他2科目はSL評価6以上またはHL評価5以上
- 日本語A評価4以上(または日本語B評価6以上、または日本語能力試験N1)
- 英語:TOEFL iBT 80以上またはIELTS 6.0以上
愛知医科大学医学部(2026年度)
- 物理・化学・生物から2科目を履修
- 数学は必須
- 3科目中1科目以上HLで、全て評価5以上
- 日本語A(HL/SL問わず)評価4以上
- 英語:IELTS/TOEFL-iBT/TOEICいずれか
重要なポイント:両校とも「物理・化学・生物から2科目」という要件です。つまり物理+化学、化学+生物、物理+生物のいずれの組み合わせでも出願可能です。医学部=生物必須という思い込みは、日本の医学部IB入試に関しては正確ではありません。
英国医学部の科目要件(UCL・Cambridge等)
UCL Medical School(2026年度入試)
- HL 3科目の合計19点以上
- BiologyとChemistryが必須(評価6と7、順序不問)
University of Cambridge Medicine
- HL 7,7,6以上
- Chemistry必須
- それに加えてBiology・Physics・Mathのいずれか1つ
Greater Manchester Medical School
- 総合34点以上
- HL 6,6,5以上
- ChemistryまたはBiologyが必須
- さらにBiology・Chemistry・Physics・Mathのいずれか
英国医学部の傾向
- Chemistryはほぼ全校で必須
- BiologyはUCLのような一部校で必須。それ以外は「Bio・Phy・Mathのいずれか」で代替可能
- Physics HLでも大半の英国医学部に出願可能(UCLのような例外を除く)
米国医学部は大学・医学部(MD)プログラムで、IB単体ではなく学部4年(Pre-med)経由のため、IB科目選択の直接的影響は限定的です。
Biology HL を選ぶメリットとデメリット
メリット
- 医学部入学後の学習内容(解剖学・生理学・生化学・分子生物学など)との直接的つながり
- 特に日本の医学部では2年目以降に生物系基礎科目が多く、IB Biologyの知識がそのまま土台になる
- UCLなど一部の英国医学部では必須要件
- CAS・EE・IAで医療系テーマを選びやすい(医学部AOの書類でアピール可)
デメリット
- IB Biologyは暗記量が最も多い理系科目(細胞、代謝、遺伝、進化、生態系、人体生理、分子遺伝など広範)
- Paper 1(多肢選択)は細かい用語記憶が直結
- Paper 2・3の記述問題では英語力と生物用語力の両方が必要(日本語受験でも用語は英語由来)
- 世界統計では、Science系科目の中でBiologyの7取得率がやや低めの傾向がある
Physics HL を選ぶメリットとデメリット
メリット
- 計算問題の比重が高く、Math AA HLを取る生徒は相乗効果
- 公式と論理で解ける問題が多く、暗記よりロジックで勝負できる
- 過去問との類似性が高く、問題演習の効果が出やすい
- 世界統計では、Scienceの中でPhysicsの7取得率が比較的高い傾向
デメリット
- 医学部入学後の授業との直接的つながりは弱い(医学部1〜2年で生物系科目の基礎が必要)
- UCLのようにBiology必須の大学には出願不可
- 数学が苦手な生徒には計算問題が負担になる
- CAS・EE・IAのテーマ選定で、医学系との紐付けを工夫する必要がある
判断の軸:短期の得点 vs 長期の学び
短期の得点(IBのFinal Exam)で見ると
- Math AA HLが得意 → Physicsの方が高得点を取りやすい
- 暗記が得意 → Biologyでも十分に7が狙える
- 暗記が苦手・数学が得意 → Physicsが圧倒的に有利
長期の学び(医学部入学後)で見ると
- Biology HLは医学部1〜2年の基礎科目と直接的につながる
- Physics HLは放射線医学・医療工学など専門分野で後から必要になる場面が限定的
- 医学部入学後の学習効率を重視するなら Biology HL が有利
両立の選択肢
HL3科目の組み合わせ次第では、両方を確保できる可能性もあります。例えば:
- HL:Math AA・Chemistry・Biology(または Physics)
- HL:Chemistry・Biology・Physics(数学は SL で AA)
「Math AA HL+Chem HL+Sciences HL」の3つ目に何を入れるかが判断の焦点です。
MathがAAかAIかによる影響
IB数学は**AA(Analysis and Approaches)とAI(Applications and Interpretation)**の2系統。医学部入試では以下の違いがあります。
日本の医学部
- 多くはMath AA・AIどちらでも出願可能
- 一部の大学(特に国立)はAA HLが推奨される
英国医学部
- Cambridge、Oxfordは特にAAが強く推奨される
- UCLなどはAA・AI両方とも受け入れ
PhysicsをHLで取る場合、Math AA HLとの併用が学習効率の面で有利です。AIとPhysicsの組み合わせは計算基盤に課題が出る可能性があります。
選び直す判断材料:DP1終了時点でのスコア
DP1(高2)の1年間で、一度「Biology・Physicsの両方を試してみて」判断する時間的余地があります。多くのIB校ではDP1のモックテストまでは科目変更が可能です。
判断ポイント
- DP1終了時点でBiology 5点未満なら、DP2開始前にPhysicsへ変更を検討する価値あり
- DP1終了時点でPhysics 4点未満なら、Math AAとの相性を見直しMath AIやBiologyへの切替を検討
- どちらも5点以上取れるなら、医学部志望ならBiology、理系研究志望ならPhysicsを基準に決断
ただし、変更にあたっては以下の点も確認が必要です。
- 所属校で履修可能な科目の組み合わせ
- 変更後のシラバス進度へのキャッチアップの現実性
- 志望大学(特に英国)の厳格な科目要件との整合性
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出典
- 横浜市立大学医学科「国際バカロレア特別選抜」2026年度要項:https://www.yokohama-cu.ac.jp/admissions/admissions/special_selection/baccalaureate/index_igaku.html
- 愛知医科大学「医学部国際バカロレア選抜」2026年度要項:https://www.aichi-med-u.ac.jp/su11/su1107/su110701/su11070101/1201064_2725.html
- UCL Medical School「2026 Entry Requirements」:https://www.ucl.ac.uk/medical-sciences/divisions/medical-school/study/undergraduate/mbbs-admissions/entry-requirements/2026-entry
- University of Greater Manchester Medical School「Medicine (MBChB) - 2026 Academic Requirements」
- BlackStone Tutors「IB Requirements for Medicine」