「Japanese BのPaper 1・Paper 2の答え方がいまいちわからない」

インターや一条校でIB日本語Bを履修している生徒から、このような声をよく聞きます。特にPaper 1の「テクストタイプ」の書き分けと、Paper 2のリスニング音声への対応は、独学では難しいポイントです。

この記事では、IB公式のLanguage B(日本語B)評価基準に基づいて、Paper 1とPaper 2の答え方・時間配分・つまずきどころをIB卒業生の視点で整理します。

目次

日本語Bの試験構造(SL/HL共通の全体像)

IB日本語B(Language B)の最終評価は3つのコンポーネントで構成されます。

  • Paper 1:Writing(Productive skills)|25%
  • Paper 2:Listening + Reading(Receptive skills)|50%
  • Individual Oral(IA・内部評価)|25%

HL受験者は加えて、対象言語(日本語)で書かれた文学作品2作品を学習することが必須で、Individual Oralではそのうち1作品の抜粋について口頭で分析する必要があります。

Paper 1(Writing)の基本仕様

Paper 1はテクストタイプ指定の作文試験です。

SL

  • 試験時間:1時間15分
  • 語数:250〜400字
  • 3つの設問から1つを選択
  • 最終評価に占める割合:25%

HL

  • 試験時間:1時間30分
  • 語数:450〜600字
  • 3つの設問から1つを選択
  • 最終評価に占める割合:25%

各設問は「状況設定+指定テクストタイプ」の組み合わせで与えられます。指定されるテクストタイプの例:

  • ブログ記事
  • 公式メール/手紙
  • スピーチ/講演原稿
  • パンフレット/リーフレット
  • 新聞・雑誌の記事
  • レポート/報告書
  • インタビューの書き起こし
  • 日記/個人的文章

Paper 1で最初にやるべきこと:CAP分析

3つの設問から1つを選んだあと、書き始める前に必ずやるのがCAP分析です。IB公式の評価観点に直結する3要素:

  • C(Context/文脈):いつ、どこで、どんな状況で書かれた文章か
  • A(Audience/受け手):誰が読む/聞く文章か
  • P(Purpose/目的):何を伝える/実現する文章か

たとえば「学園祭について地域住民に知らせるパンフレット」という設問なら:

  • C:学園祭の告知の場面、学校から地域への発信
  • A:学校外の地域住民(年代や日本語習熟度が多様)
  • P:学園祭の開催を知らせ、来場を促す

このCAPが決まると、語彙のレベル・敬語の選択・視覚要素(見出し/箇条書き/呼びかけ)が自動的に決まります。CAP分析を省いて書き始めると、テクストタイプと文体がズレて減点対象になります。

Paper 1評価基準とテクストタイプ別の書き方

Paper 1は3つの評価基準で採点されます(合計30点)。

Criterion A:言語(Language)|12点

  • 語彙・文法・スペリング・句読点の正確さ
  • テクストタイプに適した文体・レジスターの使い分け

Criterion B:メッセージ(Message)|12点

  • 伝えたいメッセージの明快さ
  • 論の展開と段落構成
  • 指定された語数内で収まっているか

Criterion C:概念的理解(Conceptual understanding)|6点

  • テクストタイプの慣例(フォーマット・構造・語彙選択)に沿っているか
  • 文脈・受け手・目的に沿った選択ができているか

テクストタイプ別の押さえどころ

  • 公式メール/手紙:冒頭の宛名、「拝啓/敬具」、結語、署名。敬語は尊敬語と謙譲語を混同しない
  • ブログ記事:タイトル、日付、カジュアルな文体(「です・ます」は可)、読者への呼びかけ、最後に質問や意見募集で締める
  • スピーチ:聴衆への挨拶、自己紹介、話の流れを示す予告、繰り返しと強調、終わりの感謝
  • パンフレット:タイトル、見出し、箇条書き、呼びかけ、問い合わせ先
  • 新聞記事:見出し、リード文(5W1H)、本文、客観的な文体(「思う」「気がする」は避ける)
  • 日記:日付、一人称、感情や内面描写、口語的表現

テクストタイプの慣例を外すと、Criterion Cで大きく失点します。SLなら最低6点満点中4点以上、HLなら5点以上を目標にしたいところです。

Paper 2(Listening+Reading)の基本仕様

Paper 2は2セクション構成です。

SL

  • 試験時間:1時間45分(Listening 45分 + Reading 1時間)
  • 最終評価に占める割合:50%

HL

  • 試験時間:2時間(Listening 1時間 + Reading 1時間)
  • 最終評価に占める割合:50%

Listeningは3つの音声パッセージ、Readingは3つの文章が出題されます。設問形式は選択式・短答式・記述式の混合。

Listeningセクションの攻略法

音声は2回再生されます(初回と2回目の間に問題を確認する時間あり)。このルールを最大限活用する流れ:

ステップ1:音声が始まる前に問題文を先読み(予告された1分)

  • 登場人物、場面、場所、時間、数字などのキーワードを問題文からマーキング
  • 何を答える必要があるか(数字/場所/理由/気持ち)を質問語に丸をつけて明示

ステップ2:1回目の再生

  • 答えの候補をメモ(完全な答えでなくてOK)
  • わからなかった箇所に印をつけて、2回目で重点的に聞く

ステップ3:2回目の再生

  • 1回目で空欄のまま残した箇所に集中
  • 1回目で書いた答えも、聞き直して修正可能

Listeningで落とす典型パターン

  • 数字(時刻・金額・年号)の聞き違い:音声では「10時」と「1時」が似て聞こえるので、前後の文脈で確認
  • 否定表現の聞き逃し:「〜ではない」「〜ではなく」を聞き逃すと答えが真逆になる
  • 曖昧な答えを書く:「駅の近く」ではなく「東京駅の西口」のように、音声で言われた具体度で書く

Readingセクションの攻略法

Readingは以下の3ステップで解くと安定します。

ステップ1:設問を先に読む(2分)

本文を読む前に設問を読んで、「何を探せばいいか」のキーワードを頭に入れます。

ステップ2:スキャニング(3〜5分)

本文全体を精読せず、設問のキーワードに対応する箇所だけを素早く拾います。段落ごとの主題文(最初か最後の1文)を意識するのが効率的。

ステップ3:精読して答える(残り時間)

答えの根拠になる箇所が特定できたら、その前後を精読して確実な答えを作ります。

設問タイプ別の注意

  • 選択式:消去法を使う。明らかに違う選択肢を先に消して、残った2択を本文と照合
  • True/False/本文にない:「書かれていない」は最も引っかかりやすい。本文と設問の違いを1文字単位で比較
  • 短答式:本文の表現をそのまま抜き出さず、設問の主語・動詞に合わせて言い換える。「〜のため」「〜ので」など助詞・接続詞の選択で減点されやすい
  • 記述式:本文の内容を要約するのではなく、設問で問われていることに的確に答える。「筆者の意見」「登場人物の気持ち」「原因」「結果」など、設問語を繰り返して答えの軸を作る

「選択は解けるが記述で落ちる」症候群の対処法

「選択問題は解けるのに、記述になると書けない」という悩みは、実は日本語の作文力より設問への的確な応答力の問題です。

原因1:設問の問いに真っ直ぐ答えていない

例:「筆者はなぜこの方針に反対しているか」と問われたら、答えは**「〜だから」「〜のため」**で終わる文にする。「筆者はこう言っている」では答えになっていません。

原因2:本文の表現をそのまま切り貼りしている

本文をそのまま抜き出すと、主語や助詞が設問と噛み合わない。一度自分の言葉で書き直してから、キーワード(本文の重要語)を埋め戻す形で答えを作ると安定します。

原因3:語数を意識していない

記述は「25字以内」「50字程度」のように字数指定があります。字数を守るには、冗長な接続詞や同義語の重複を削る練習が必要。書いたあと「この語を削っても意味が通るか」を一語一語確認する習慣をつけます。

対処法:記述問題の「3段階答え方テンプレ」

  1. 設問の語彙を答えの主語に入れる:「筆者がこの方針に反対しているのは、〜」
  2. 本文の根拠を1〜2フレーズ入れる:「〜と述べているように、」
  3. 理由を1文でまとめる:「〜だからである」

この3段テンプレに沿うと、文が自動的に設問の軸で整います。

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