「CASのLearning Outcomesって7個全部達成しないとダメ?」「CAS Projectって何をやればいいの?」

IB DPのCore3要素のひとつであるCAS(Creativity, Activity, Service)は、得点には含まれませんが、未完了のままだとDiploma自体が不認定になる、実は最も「落とし穴」のあるコンポーネントです。

この記事では、IBO(International Baccalaureate Organization)公式CAS Guideに基づき、7つのLearning Outcomes、CAS Projectの要件、18ヶ月のスケジュール感、Portfolioの書き方を整理します。

目次

CASとは何か

CASはCreativity(創造性)、Activity(活動)、Service(奉仕)の3要素から構成される、DPのCore必修要素です。授業外の経験を通じて、自分自身の成長と社会への関与を学ぶことが目的です。

IBOの公式定義によれば、CASの完遂は以下の3条件を満たすことで認められます。

  • 7つのLearning Outcomesすべてを達成(少なくとも1回ずつ証拠とともに示す)
  • 18ヶ月にわたる定期的な関与
  • 最低1ヶ月以上のCAS Projectの実施

得点には含まれませんが、未完了の場合はDiploma自体がFailing Conditionとなり授与されません。

3つのストランド:Creativity / Activity / Service

Creativity(創造性):芸術、音楽、執筆、デザイン、企画など、創造的な思考や表現を含む活動。例:吹奏楽部、絵画制作、学校新聞編集、小説執筆。

Activity(活動):身体活動を含む経験で、健康的なライフスタイルに貢献するもの。例:サッカー部、ヨガ、登山、トレーニング、ダンス。

Service(奉仕):地域社会のニーズに応える、無償でかつ相手と対等な関係性に基づく活動。例:地域清掃、子ども食堂のボランティア、環境保護活動、教科書の翻訳支援。

3つのストランドはバランスよく経験することが推奨されますが、必ずしも均等な時間配分が必要ではありません。生徒の興味と地域の状況に応じて柔軟に組み立てられます。

7つのLearning Outcomesの定義

IBO公式CAS Guideに基づく7つのLearning Outcomes(LO)は次の通りです。

LO1:Identify own strengths and develop areas for growth 自分の強みと成長領域を特定する。CAS開始時の自己分析と、経験を通じた変化を捉える。

LO2:Demonstrate that challenges have been undertaken, developing new skills in the process 新たなスキルを獲得するための挑戦を行ったことを示す。すでに得意なことだけでは不十分。

LO3:Demonstrate how to initiate and plan a CAS experience CAS経験を自ら立案・計画したことを示す。「与えられた活動」ではなく主体性が求められる。

LO4:Show commitment to and perseverance in CAS experiences CAS経験への継続的なコミットメントと粘り強さを示す。短期で終わらせず継続することが重要。

LO5:Demonstrate the skills and recognize the benefits of working collaboratively 協働のスキルとその利点を示す。チームで成果を出した経験。

LO6:Demonstrate engagement with issues of global significance グローバルに意義のある課題への関与を示す。SDGs、気候変動、貧困、平和など、世界規模のテーマを地域・個人レベルで扱う。

LO7:Recognize and consider the ethics of choices and actions 自分の選択と行動の倫理的側面を認識し考察する。CASは「やった事実」だけでなく「倫理的に正しかったか」のリフレクションが求められる。

Learning Outcomesの達成方法

7つのLOは「全部の経験で全部達成」ではなく、異なる経験を通じてそれぞれ少なくとも1回達成すれば良い仕組みです。実際には1つの経験で複数のLOが達成できることが多く、6〜10個程度の主要CAS活動でカバーするのが標準的です。

達成のためには次の3点が重要です。

  • 証拠(Evidence):写真、ビデオ、感謝状、活動記録、共同活動者のコメントなど
  • リフレクション(Reflection):単なる活動記録ではなく、自分の変化・気づき・課題を言語化する
  • CAS Coordinatorとの3回の面談:開始時・中間・最終の3回で進捗確認が必須

LO6(グローバル課題)とLO7(倫理)は意識的に設計しないと達成しにくいため、活動立案段階から「これはどのLOを意識するか」を明確にしておくことが推奨されます。

CAS Projectの要件

CAS Projectは「最低1ヶ月の継続的な活動」をひとつ以上実施することが必須です。IBO公式の要件は次の通りです。

  • 期間:最低1ヶ月(複数のCAS経験を組み合わせるのではなく、ひとつのプロジェクトとして継続)
  • 協働:他者との協働が必要(CAS Coordinator・他生徒・地域メンバーなど)
  • 計画:Investigation、Preparation、Action、Reflection、Demonstrationの5段階を経る
  • ストランド:Creativity、Activity、Serviceの少なくともひとつを含む(複数組合せ可)

例:「学校文化祭で外国人留学生向け案内ブースを企画運営」「地元の障がい者支援施設で月1回のアートワークショップを開催」「校内で環境問題ドキュメンタリー上映会と討論会を企画」。

CAS Projectは7つのLOのうち**LO3(立案)、LO4(継続)、LO5(協働)**を達成するための重要な機会となります。

18ヶ月の期間と3 Stages

CASは18ヶ月(DP1の開始からDP2の中盤まで)にわたる長期コミットメントです。スケジュールを次の3 Stagesで設計するのが標準です。

Stage 1:Investigation & Preparation(DP1前半) 自己分析(強み・興味)、地域のニーズ調査、CAS Coordinatorとの初回面談、活動候補の絞り込み。

Stage 2:Action(DP1後半〜DP2前半) 実際の活動、CAS Project実施、定期的なリフレクション、中間面談。Year 12の終わりまでに6〜8つの活動を実施しているのが目安です。

Stage 3:Demonstration & Reflection(DP2中盤) CAS Portfolioの最終仕上げ、最終面談、達成LOの確認。EE/IAの追い込み時期と重なるため、CASは早めに完了させるのが鉄則です。

DP2の後半(試験前)に「LO6とLO7が未達」と気づくと、TOK・EE・IAと同時並行でCASを片付ける羽目になります。

CAS Portfolioの書き方とReflection

CAS Portfolioは紙でも電子でも構いませんが、ManageBacなどのIB管理ツールを使う学校が多いです。Portfolioに含めるべき要素は次の通りです。

  • 各CAS経験の概要(日時・場所・関与者・自分の役割)
  • どのLOを達成したかの明示
  • 証拠(写真・記録・感想文・共同者のコメント)
  • リフレクション(最低3〜4回/経験)

リフレクションは「楽しかった」では足りません。次の3点を意識すると深いリフレクションになります。

  • What happened?:何が起きたか(事実)
  • So what?:自分にとって何を意味したか(解釈)
  • Now what?:次にどう行動するか(学び)

最後の「Now what」が最も重要です。CASは活動を通じた成長を評価するため、未来の行動への接続が必須です。

CAS不認定を防ぐチェックリスト

CASで不認定になるケースは現実に存在します。次の項目を定期的にチェックしてください。

  • 7つのLOすべてに証拠とリフレクションがあるか
  • 18ヶ月にわたって定期的な関与の記録があるか(途中で空白の数ヶ月がないか)
  • CAS Projectが1ヶ月以上の継続活動として明確に区切られているか
  • CAS Coordinatorとの3回の面談記録があるか
  • リフレクションが「事実列挙」にとどまっていないか
  • 3ストランド(Creativity/Activity/Service)がカバーされているか

CAS不認定は得点でいかに高くてもDiploma授与を阻む致命的な要因です。逆に言えば、CASは「真面目にやれば必ず通る」性質のものなので、後回しにしないことが最大の戦略です。

IBの勉強でお悩みですか?

IBTは、IB卒業生だけで構成されたIB専門の家庭教師サービスです。CAS Portfolioの組み立て、Learning Outcomesの設計、リフレクション添削、CAS Projectのアイデア相談まで、CASを実体験した卒業生講師が伴走します。まずは60分の無料体験からどうぞ。

💬 LINEで今すぐ相談する

📩 無料体験を申込む


関連記事


出典