「English BのPaper 1で何を書けばいいか毎回迷う」「Paper 2のリスニングは速すぎて追えない」

インター・一条校・海外IB校でEnglish Bを履修している生徒からよく聞く悩みです。English Bは英語非ネイティブの生徒が「言語として英語を学ぶ」科目ですが、SLでもHLでも公式評価基準(Criterion A/B/C)を押さえないと点が伸びません。特にHLは文学作品の学習要件が加わり、難易度が一段上がります。

この記事では、IB公式のLanguage B(English B)評価基準に基づいて、Paper 1とPaper 2の答え方・時間配分・つまずきどころをIB卒業生の視点で整理します。

目次

English Bの試験構造(SL/HL共通の全体像)

IB English B(Language B)の最終評価は3つのコンポーネントで構成されます。

  • Paper 1:Writing(Productive skills)|25%
  • Paper 2:Listening + Reading(Receptive skills)|50%
  • Individual Oral(IA・内部評価)|25%

5つの規定テーマ(Prescribed Themes)が学習範囲です。

  • Identities(アイデンティティ)
  • Experiences(経験)
  • Human ingenuity(人間の創造力)
  • Social organization(社会組織)
  • Sharing the planet(地球を共有する)

この5テーマは Paper 1 の作文設問・Paper 2 の本文・IO の刺激素材すべての出題範囲になります。HL受験者は加えて、英語で書かれた文学作品2作品を学習することが必須で、Individual Oralではそのうち1作品の抜粋について口頭で分析します。

Paper 1(Writing)の基本仕様

Paper 1はテクストタイプ指定の作文試験です。

SL

  • 試験時間:1時間15分
  • 語数:250〜400 words
  • 3つの設問から1つを選択
  • 最終評価に占める割合:25%

HL

  • 試験時間:1時間30分
  • 語数:450〜600 words
  • 3つの設問から1つを選択
  • 最終評価に占める割合:25%

各設問は「状況設定+指定テクストタイプ」の組み合わせで与えられます。指定されるテクストタイプの例:

  • Blog post(ブログ記事)
  • Formal email / letter(公式メール/手紙)
  • Speech(スピーチ)
  • Leaflet / brochure(リーフレット/パンフレット)
  • News article(新聞記事)
  • Report(レポート)
  • Interview(インタビューの書き起こし)
  • Diary entry(日記)
  • Review(書評・映画レビュー)
  • Proposal(提案書)

語数を超えても採点は止まりませんが、Criterion B(Message)の論理構成評価で「冗長」と判断され減点対象になります。逆に下限を下回ると、内容が浅いと評価されます。

Paper 1で最初にやるべきこと:CAP分析の英語版

3つの設問から1つを選んだあと、書き始める前に必ずやるのがCAP分析です。IB公式の評価観点に直結する3要素:

  • C(Context/文脈):When, where, in what situation is this written?
  • A(Audience/受け手):Who reads or listens to this text?
  • P(Purpose/目的):What does it aim to convey or achieve?

たとえば「Write a speech to your school assembly about the importance of recycling at home」という設問なら:

  • C:学校の朝礼、生徒全員に向けたスピーチの場面
  • A:同年代の生徒(ティーンエイジャー)+ 教員
  • P:家庭でのリサイクル習慣の重要性を訴え、行動変容を促す

このCAPが決まると、語彙レベル(やや formal だがアカデミックすぎない)、レジスター(you / we の人称選択)、構造(attention-grabber → main argument → call to action)が自動的に決まります。CAP分析を省いて書き始めると、テクストタイプとレジスターがズレて Criterion C で大きく失点します。

Paper 1評価基準とテクストタイプ別の書き方

Paper 1は3つの評価基準で採点されます(合計30点)。

Criterion A:Language(言語)|12点

  • 語彙の正確さと多様性、文法・スペリング・句読点の正確さ
  • テクストタイプに適したレジスター(formal / semi-formal / informal)の使い分け
  • 単純な構文の繰り返しではなく、複文・関係代名詞・分詞構文を適切に織り込む

Criterion B:Message(メッセージ)|12点

  • 伝えたいメッセージの明快さ、論の展開と段落構成
  • 設問の状況設定に沿った具体例の使用
  • 指定された語数内で収まっているか

Criterion C:Conceptual understanding(概念的理解)|6点

  • テクストタイプの慣例(フォーマット・構造・典型表現)に沿っているか
  • 文脈・受け手・目的に沿った選択ができているか

テクストタイプ別の押さえどころ

  • Formal letter / email:宛名(Dear Mr./Ms. …)、自己紹介の一文、本文の段落分け、結語(Yours sincerely / Yours faithfully の使い分け)、署名。Contraction(don’t, can’t)は使わない
  • Blog post:Title、catchy opening、見出し(subheadings)、読者への呼びかけ(you)、最後にコメント募集や質問で締める。Contractionは可
  • Speech:聴衆への挨拶(Good morning, everyone)、自己紹介、話の予告(Today I’d like to talk about …)、繰り返しと修辞疑問、終わりの感謝(Thank you)
  • Leaflet / brochure:Title、ヘッダー(Why? / How? / When?)、bullet points、call to action、連絡先情報
  • News article:Headline、リード文(5W1H)、本文、第三者視点(I think は避ける)、引用符での発言引用
  • Diary entry:Date、Dear Diary、一人称、感情と内面描写、口語的表現

テクストタイプの慣例を外すと Criterion C で大きく失点します。SLなら最低6点満点中4点以上、HLなら5点以上を目標にしたいところです。

Paper 2(Listening+Reading)の基本仕様

Paper 2は2セクション構成です。

SL

  • 試験時間:1時間45分(Listening 45分 + Reading 1時間)
  • 最終評価に占める割合:50%

HL

  • 試験時間:2時間(Listening 1時間 + Reading 1時間)
  • 最終評価に占める割合:50%

Listeningは3つの音声パッセージ、Readingは3つの文章が出題されます。設問形式は選択式・短答式・本文との照合(True/False/Justify)・記述式の混合です。

Listeningセクションの攻略法

音声は2回再生されます(初回と2回目の間に問題を確認する時間あり)。このルールを最大限活用する流れ:

ステップ1:音声が始まる前に問題文を先読み(予告された数分)

  • 登場人物、場面、場所、時間、数字、固有名詞などのキーワードを問題文からマーキング
  • 何を答える必要があるか(数字/場所/理由/意見)を質問語(who / where / why / how)に丸をつけて明示

ステップ2:1回目の再生

  • 答えの候補をメモ(完全な文でなくキーワードでOK)
  • わからなかった箇所に印をつけて、2回目で重点的に聞く

ステップ3:2回目の再生

  • 1回目で空欄のまま残した箇所に集中
  • 1回目で書いた答えも、聞き直して修正可能

Listeningで落とす典型パターン

  • 数字(時刻・金額・年号)の聞き違い:英語の「fifteen」と「fifty」、「thirteen」と「thirty」は強勢の位置で区別する
  • 否定の聞き逃し:「don’t」「won’t」「never」「hardly」など短く発音される否定語を聞き逃すと答えが真逆になる
  • 言い換え(paraphrase)の見落とし:本文の「reduce energy use」が選択肢では「cut down on power consumption」に言い換えられている。完全一致を探すと外す
  • アクセント:英国・米国・豪州・南アフリカなど多様なアクセントが混在。慣れが必要

Readingセクションの攻略法

Readingは以下の3ステップで解くと安定します。

ステップ1:設問を先に読む(2〜3分)

本文を読む前に設問を読んで、「何を探せばいいか」のキーワードを頭に入れます。

ステップ2:スキャニング(5分前後)

本文全体を精読せず、設問のキーワードに対応する箇所だけを素早く拾います。段落ごとの主題文(最初か最後の1文)を意識するのが効率的。

ステップ3:精読して答える(残り時間)

答えの根拠になる箇所が特定できたら、その前後を精読して確実な答えを作ります。

設問タイプ別の注意

  • Multiple choice:消去法を使う。明らかに違う選択肢を先に消して、残った2択を本文と照合
  • True / False / Justify:「True」「False」を選ぶだけでは不可。Justification(根拠の文)を本文から正確に引用しないと点にならない。引用は本文のフレーズをそのままコピーする
  • Short answer:本文の表現をそのまま抜き出さず、設問の主語・動詞に合わせて言い換える。「Because of …」「Due to …」「In order to …」など接続表現の選択で減点されやすい
  • Fill-in-the-blank:文法的に成立する形(品詞・数・時制)で答える
  • Matching:選択肢を1つずつ本文と照合。既に他の問題で使った選択肢を再利用しないか確認

HL限定:文学作品(Literary Works)の取り扱い

HL受験者は2年間で英語の文学作品2作品を学習する必要があります。Paper 1・Paper 2には直接出題されませんが、Individual Oral(内部評価)で1作品の抜粋を分析する課題があります。

作品選定の傾向

  • IBOによる指定リストはなく、教師が作品を選定
  • 散文(小説・短編集)と戯曲・詩集の組み合わせが一般的
  • 例:「The Curious Incident of the Dog in the Night-Time」「Persepolis」「Things Fall Apart」など、現代英語圏の作品が選ばれやすい

学習で押さえるべきポイント

  • 作品全体のテーマ(5 prescribed themes との接続)
  • 主要登場人物と関係性
  • 印象的なシーンを2〜3カ所、抜粋として暗記レベルで把握
  • 著者の文体的特徴(言語選択・視点・象徴)

Paper 1・Paper 2 の準備と並行して、HL文学は IO 試験前2か月で集中学習に入るのが現実的なペースです。

日本人IB生がハマりやすい失敗パターン

English Bは「英語非ネイティブのための言語学習」科目ですが、日本人IB生に共通する失敗があります。

原因1:IELTS/TOEFL の答え方をそのまま持ち込む

IELTS Writingで高得点を取る型(thesis statement → body 1 → body 2 → conclusion)は、English B Paper 1 のテクストタイプには合いません。Paper 1は「ブログ記事」「スピーチ」など実用文体での書き分けが要求されます。アカデミックエッセイの型でブログ記事を書くと Criterion C で減点されます。

原因2:Contraction の使い分けを忘れる

Formal letter で「I’m writing to …」と書くと文体マイナス、Blog post で「I am writing to …」と書くとレジスターが堅すぎます。テクストタイプごとに contraction(短縮形)の使用ルールを変える意識が必要です。

原因3:和製英語と直訳表現

「My image is …」(私のイメージでは)、「I think so(同意)」、「Salaryman」など、和製英語や日本語直訳表現は Criterion A で減点されます。日常英会話と試験英語のレジスターを分けて練習することで防げます。

原因4:Listening で「単語を聞こうとして」聞き逃す

英語の音声は連結(リンキング)と弱形(schwa)で日本語の発音と大きく異なります。「going to」が「gonna」、「want to」が「wanna」と聞こえる、強勢のない母音は ə に変化する、などの音声変化に慣れていないと、知っている単語でも聞き取れません。

対処法:テクストタイプ別「答案テンプレ」を1作品ずつ仕上げる

過去問の各テクストタイプ(letter / blog / speech / leaflet など)について、自分のテンプレを完成させ、1度ずつ模範解答レベルまで添削してもらう。これで Paper 1 は安定します。Paper 2 のリスニングは BBC Learning English / TED-Ed など、IB音声と難易度が近い素材で「2回聞きルーティン」を毎日10分続けるのが効果的です。

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