「IBのScience HLで、Biology・Chemistry・Physicsのどれが7を取りやすい?」

この質問は、HL科目選択を検討するDP1前後の生徒から本当によく聞きます。IB公式のStatistical Bulletin(統計年報)には、毎年の各科目グレード分布が公表されており、7取得率を比較できます。この記事では、**最新の公式データ(May 2024・November 2024セッション)**に基づいて、3科目の難易度を整理します。

目次

IB公式Statistical Bulletinとは

International Baccalaureate Organization(IBO)は、年2回(5月セッション後・11月セッション後)にStatistical Bulletin(最終統計年報)を公式サイトで公開しています。

この資料には以下が含まれます。

  • 全世界の受験者数
  • 各科目・各レベル(SL/HL)の受験者数
  • 各科目のグレード分布(1〜7および N=No grade)
  • 平均評価(Mean grade)
  • Grade boundaries(素点→評価の境界点)

公開場所https://ibo.org/about-the-ib/facts-and-figures/statistical-bulletins/

この記事では最新の2つのセッション、May 2024・November 2024のデータを使用します。

May 2024 HLの7取得率比較

Biology HL(May 2024)

  • 平均評価(Mean grade):4.6
  • グレード7取得率:13.6%
  • グレード6以上取得率:33.0%
  • グレード分布:7=13.6%、6=19.4%、5=24.0%、4=23.8%、3=11.1%、2=2.8%、1=0.4%、N=0.9%

Chemistry HL(May 2024)

  • 平均評価:4.7
  • グレード7取得率:13.8%
  • グレード6以上取得率:34.1%
  • グレード分布:7=13.8%、6=20.3%、5=20.5%、4=19.7%、3=17.1%、2=6.4%、1=1.1%、N=1.0%

Physics HL(May 2024)

  • 平均評価:4.9(Biology・Chemistryより高い)
  • グレード7取得率:公式数値は IB Statistical Bulletin May 2024 参照推奨。Mean 4.9という数字から、7取得率はBiology・Chemistryと同等またはやや高い水準にあると推測される

May 2024での比較

  • Mean gradeで見るとPhysics HLが最も高い(4.9)
  • 7取得率はBiology・Chemistryでほぼ同水準(13〜14%)
  • 分布の形を見ると、Chemistry HLは5〜7の上位に集中する傾向、Biology HLは4〜5の中央に分布する傾向

November 2024 HLの7取得率比較

Biology HL(November 2024)

  • 受験者数:3,451名
  • 平均評価:4.7
  • グレード7取得率:12.6%
  • グレード6以上取得率:32.4%
  • グレード分布:7=12.6%、6=19.8%、5=17.8%、4=22.6%、3=18.3%、2=5.9%、1=0.6%、N=2.5%

Chemistry HL(November 2024)

  • 受験者数:2,854名
  • 平均評価:5.3(5月セッションの4.7より大幅に高い)
  • グレード7取得率:30.0%(5月の13.8%の2倍以上)
  • グレード6以上取得率:51.7%
  • グレード分布:7=30.0%、6=21.7%、5=15.2%、4=13.1%、3=12.4%、2=5.1%、1=0.2%、N=2.2%

November 2024での特徴

11月セッションのChemistry HLは、5月セッションと比較して極端に高得点側に寄った分布を示しています。これは11月セッション受験者の母数(2,854名)が5月セッション(数万名規模)より少なく、特定の高偏差値校・インター校が受験母集団として集中するため、平均が押し上げられる現象と考えられます。

5月セッションと11月セッションで違いが出る理由

受験者の地域分布

  • 5月セッション:欧州、中東、アフリカ、南北アメリカなどが中心。受験者数は数万名規模
  • 11月セッション:日本、シンガポール、中国、香港、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなど。受験者数は数千〜1万程度

母集団の偏り

11月セッション受験校は、日本のインターナショナルスクール、シンガポールのUWC、中国の国際部など、高偏差値・英語能力の高い生徒が集中する地域が多く、結果として平均点が上がる傾向があります。

チャットでの生徒の声

「日本だとmockやfinalはシンガポールや中国と時間帯が被るから、ある教科にとっては相対評価の試験は不利になりやすい」という声もありますが、IB公式の立場は**「grade boundariesは絶対評価であり、他受験者との相対で変動しない」**とされています。

ただし、Grade boundariesは毎セッションごとにStatistical Bulletinで決定されるため、問題の難易度差に応じて微調整される仕組みです。結果として、11月セッションでChemistry HLの7取得率が上がる現象は、難易度調整の帰結とも解釈できます。

科目別の特徴と7取得に必要な要素

Biology HL:暗記と記述の両立が必須

  • シラバス範囲が広く、細胞・代謝・遺伝・生態系・人体生理まで網羅
  • Paper 2・Paper 3の記述問題で用語の正確さと説明の論理性が7と6の分かれ目
  • 7取得には過去問の記述問題を数十問解き、採点基準に合致する書き方を身につけることが必要

Chemistry HL:理論の理解と計算の正確さ

  • 物理化学(平衡、反応速度論、熱力学)と有機化学のバランス
  • Data booklet(公式集)を使いこなせるかどうかが7取得の分岐点
  • 7取得にはIA(Internal Assessment)で6点満点を狙う戦略が有効。IAで満点を取ると、Paper 1・2で多少のミスがあっても7に届く

Physics HL:数学との相乗効果

  • Math AA HLを取る生徒には相性が良い
  • 計算問題の比重が高く、論理で解ける問題が多いため、暗記量は3科目で最も少ない
  • 7取得には過去問の計算問題を反復するのが最も効率的。問題パターンの数はBio・Chemより限られる

選択判断の実務的な3つのチェックリスト

チェック1:自分の得意タイプ

  • 暗記が得意で、生き物や人体に興味 → Biology HL
  • 論理と実験の組み合わせが好き、有機化合物や反応式が楽しい → Chemistry HL
  • 数学が得意で、公式と計算で勝負したい → Physics HL

チェック2:他のHL科目との組み合わせ

  • Math AA HL+Physics HL:相性が良く、数学の学習が物理で活きる
  • Math AI HL+Biology HL:計算が比較的少なく、暗記系との組み合わせ
  • Chemistry HL+Biology HL:医学部・歯学部・薬学部志望の定番

チェック3:志望大学の要件

  • 日本の医学部:物理・化学・生物から2科目
  • 英国医学部(UCL):Biology+Chemistry必須
  • 英国医学部(Cambridge):Chemistry+他科学1科目
  • 理工系学部:Chemistry+Physics+Math(Biologyは任意)

2026年5月からの新Sciencesシラバスへの影響

2026年5月セッションから、Biology・Chemistry・Physicsの全Science科目で新しいシラバスが適用されます。主な変更点:

  • Paper構成の見直し(Paper 3の廃止や統合)
  • IA評価基準の改訂(4 criteria × 6 = 24 marks の新フォーマット)
  • 協働調査(最大3人)の導入
  • シラバスの実生活アプリケーションへの重点化

難易度への影響

新シラバス初年度は、採点官・出題傾向の調整期間となるため、Grade boundariesが例年と異なる可能性があります。2026年受験生は過去データを参考にしつつ、新シラバスの公式サンプルペーパーに最も比重を置いた対策が推奨されます。

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