「EEって何をすればいいの?」「うちの子、研究なんてしたことないけど大丈夫?」

IB(国際バカロレア)のディプロマプログラムに進むと、必ず出てくるのがExtended Essay(EE)という課題。名前は聞いたことがあっても、実際に何をするのか、どう評価されるのか、イメージがわかない方は多いはずです。

この記事では、EEの仕組みをゼロからわかりやすく解説します。「EEとは何か」を正しく理解するだけで、取り組み方がまったく変わります。


Extended Essay(EE)とは?

Extended Essay(EE)は、IBディプロマプログラム(DP)の3つの必修コア要素のひとつです。TOK(知の理論)、CAS(創造性・活動・奉仕)と並んで、ディプロマ取得に必須の課題となっています。

ひとことで言えば、自分で選んだテーマについて書く4,000語の学術論文です。

項目内容
字数英語:最大4,000語 / 日本語:最大8,000字
対象科目DP科目群から1科目を選択(30科目以上から選べる)
期間約1年〜1年半(DP1年目後半〜DP2年目前半が一般的)
評価A〜E の5段階。TOKと合わせて最大3ボーナスポイント
スーパーバイザー学校の担当教員が1名つく(相談時間は限られる)

「4,000語の論文」と聞くと身構えるかもしれません。でも実際には、テーマ設定から計画的に進めれば、多くの生徒が書き上げられる分量です。


なぜEEが重要なのか

ディプロマ取得の必須条件

EEを提出しなければ、そもそもIBディプロマは取得できません。TOKとの組み合わせで最大3ポイントのボーナスが加算されるため、45点満点のうちの3点を左右します。

「たった3点」に見えるかもしれませんが、36点と39点では出願できる大学がまったく変わります。IB入試を考えるなら、この3点は極めて大きいです。

大学入試で直接活かせる

EEは、特に海外大学の出願で強力な武器になります。

  • Personal Statementのネタになる:EEで取り組んだ研究テーマは、志望理由や知的好奇心のエビデンスとして使える
  • 面接で話せる:「あなたが最も深く取り組んだ学術的経験は?」という質問に、EEの経験をそのまま語れる
  • 大学での論文執筆の予行演習:リサーチクエスチョンの設定、文献調査、論証構築、引用管理——すべて大学1年目で求められるスキル

「考える力」が鍛えられる

EEの本質は、自分で問いを立て、自分で答えを導くプロセスにあります。授業で与えられた問題を解くのとは根本的に異なる、知的なチャレンジです。

この経験は、IB Learner Profileが掲げる「Inquirers(探究する人)」「Thinkers(考える人)」の実践そのものです。


EEの評価基準:何を見られるのか

EEは以下の**5つの評価基準(Criteria)**で採点されます。合計34点満点です。

基準配点評価される内容
A:焦点と方法6点リサーチクエスチョンの明確さ、研究方法の適切さ
B:知識と理解6点選択した科目の知識を正しく使えているか
C:批判的思考12点分析の深さ、議論の論理性、反論への対応
D:表現4点構成、学術的な文体、引用の正確さ
E:取り組み6点プロセスの振り返り(RPPF)、スーパーバイザーとの対話

最も配点が高いのはC(批判的思考)で12点。つまり、EEで最も重視されるのは「情報を集めること」ではなく「集めた情報をどう分析し、議論を組み立てるか」です。

RPPF(Reflections on Planning and Progress Form)

EEには本文とは別に、**3回の振り返り記録(RPPF)**の提出が求められます。これは基準Eの評価対象です。

  1. 1回目:テーマ決定後の初期段階
  2. 2回目:執筆途中の中間振り返り
  3. 3回目:完成後の最終振り返り

RPPFは「うまくいったこと」だけでなく、計画変更や困難をどう乗り越えたかを書くことが高評価につながります。


EEの科目選び:知っておくべきこと

EEはDPの全科目群から選択できますが、自分がHLで履修している科目から選ぶ必要はありません。SL科目や、自分が履修していない科目でも書くことが可能です。

人気の高い科目

科目特徴
History一次資料と二次資料を組み合わせた論証がしやすい
English A文学作品の分析。テキストが手元にあるため資料に困りにくい
Biology実験ベースのEEも可能。データ収集がポイント
Economics具体的な経済事象を数値データで分析できる
Psychology既存研究のレビューと分析がメイン

科目選びの注意点

  • 「好き」だけで選ばない:4,000語書き切るには、好きなだけでなく「深掘りできるか」「学術的な文献があるか」が重要
  • World Studiesも選択肢:2つ以上の科目にまたがる学際的テーマで書ける特別なカテゴリがある
  • 日本語Aで書く場合:日本語の学術論文のスタイル(です・ます調は不可)に注意

EEの進め方:典型的なスケジュール

多くのIB校で採用されている一般的なタイムラインです。学校によって異なりますが、目安として参考にしてください。

DP1年目(Year 12 / 高2相当)

時期やること
9〜12月EEの説明会。興味のある分野をリストアップ
1〜3月テーマの方向性を決め、スーパーバイザーが決定
4〜6月リサーチクエスチョンを確定。文献調査を開始。RPPF 1回目

DP2年目(Year 13 / 高3相当)

時期やること
7〜8月(夏休み)本格的な執筆開始。最も進められる期間
9〜10月ドラフト完成 → スーパーバイザーにフィードバックをもらう。RPPF 2回目
11〜1月最終稿の仕上げ、引用・書式チェック。RPPF 3回目
2月頃学校への最終提出(学校ごとの締切に注意)

最も重要なポイント:夏休みの使い方。DP2年目の夏休みにどれだけ進められるかで、秋以降の余裕が大きく変わります。IA(Internal Assessment)やTOKの締切も重なるため、EEを後回しにすると一気に追い込まれます。


よくある失敗パターンと対策

EEでつまずく生徒には、共通のパターンがあります。

失敗①:テーマが広すぎる

NG例:「気候変動の世界経済への影響」 OK例:「2015〜2020年のドイツにおける再生可能エネルギー補助金が中小製造業の電力コストに与えた影響」

4,000語で論じるには、時期・地域・対象を具体的に絞ることが不可欠です。

→ テーマ選びの詳細はEEの書き方と失敗しないテーマ選びのコツで解説しています。実際にテーマ選びで苦労したIB卒業生の体験談も参考にしてみてください。

失敗②:スケジュールを甘く見る

「まだ時間がある」と思っているうちに、IA・TOK・期末試験が重なり、EEに手がつかなくなるケースが非常に多いです。

対策:DP1年目の段階でテーマを確定させ、夏休み前にアウトラインを完成させておく。

失敗③:スーパーバイザーを活用しない

スーパーバイザーとの面談回数は限られています(通常3〜5回程度)。この限られた機会を「進捗報告」だけに使うのはもったいない。

対策:面談前に具体的な質問リストを準備し、「ここで迷っている」「この論証は妥当か」など、判断を仰ぐ場として活用する。

失敗④:引用・参考文献を後回しにする

執筆を終えてから引用元を探す——これは最悪のパターンです。どの資料からどの情報を得たかわからなくなり、最悪の場合**学術不正(Academic Dishonesty)**として扱われるリスクもあります。

対策:調べた段階で即座に出典を記録する習慣をつける。

→ 引用の書き方はEEの参考文献リスト(Bibliography)の書き方で詳しく解説しています。


EEの評価とディプロマへの影響

EEとTOKの評価の組み合わせで、ボーナスポイントが決まります。

TOK: ATOK: BTOK: CTOK: DTOK: E
EE: A3点3点2点2点不合格条件
EE: B3点2点2点1点不合格条件
EE: C2点2点1点0点不合格条件
EE: D2点1点0点0点不合格条件
EE: E不合格条件不合格条件不合格条件不合格条件不合格条件

EEでE評価を取ると、他の成績に関係なくディプロマ不合格になります。 これが「EEは出せばいい」と考えてはいけない最大の理由です。


EEを乗り越えるために

EEは確かに大変な課題です。でも、正しく理解して計画的に進めれば、決して乗り越えられないものではありません。

大切なのは3つだけ。

  1. 早めに動く——テーマ決めに時間をかけることは回り道ではなく最短ルート
  2. 助けを求める——スーパーバイザー、先輩、家庭教師。使えるリソースは全部使う
  3. 完璧を目指さない——まずドラフトを書き上げて、そこから磨く

IBTでは、EEを実際に書き上げたIB卒業生の講師が、テーマ選びからドラフトレビューまでマンツーマンでサポートしています。「こうすればよかった」「ここで詰まった」というリアルな経験を共有できるのが、IB経験者ならではの強みです。

まずは60分の無料体験で、お気軽にご相談ください。

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