Extended Essay(EE)で一番大事なのはテーマ選びだ、とよく言われます。私もそう思います。なぜなら、私自身がテーマ選びで大失敗したからです。

この記事では、EEのテーマ選びで失敗した具体的な経験と、そこから学んだ教訓を包み隠さずお話しします。これからEEに取り組むIB生の皆さんが、同じ失敗を繰り返さないための参考になれば嬉しいです。

最初に選んだテーマ

DP1年目の終わり頃、EEのテーマを決める時期がやってきました。私は歴史が好きだったので、History HLでEEを書くことにしました。

テーマは「第二次世界大戦における日本の外交政策の転換点」。壮大でかっこいいテーマだと思いました。先生にも「面白そうだね」と言われて、やる気満々でスタートしました。

なぜこのテーマを選んだかというと、授業で太平洋戦争について学んだときに「日本はなぜ開戦に踏み切ったのか」という疑問を持ったからです。純粋な知的好奇心からのスタートで、それ自体は悪いことではなかったと思います。

問題は、「面白い」と「EEとして書ける」は全く別のことだと気づいていなかった点です。

3ヶ月間のリサーチで何が起きたか

テーマを決めてからの3ヶ月間、図書館に通い詰めて資料を集めました。本を10冊以上読み、論文も20本以上ダウンロード。資料はたくさん集まりました。

でも、3ヶ月後にある問題に気づきました。

問題1: テーマが広すぎる

「第二次世界大戦における日本の外交政策」なんて、本が何冊も書けるテーマです。4000語でまとめるのが不可能でした。

絞り込もうとしたんですけど、どこを切り取っても中途半端になってしまう。「日米交渉に絞ろうか」「真珠湾攻撃の決定過程に絞ろうか」と考えましたが、どの角度からアプローチしても、背景説明だけで2000語を超えてしまいそうでした。

問題2: 一次資料が日本語に偏っている

EEは英語(または学校の指定言語)で書く必要があります。しかし、日本の外交政策に関する一次資料のほとんどは日本語。英語で書かれた学術論文は限られていました。

引用元が偏ると、「多角的な視点で分析している」という評価基準を満たせません。これはEEの成績に直結する問題でした。

問題3: リサーチクエスチョンが曖昧

「転換点」という言葉が曖昧すぎたんです。何をもって「転換点」とするのか、その定義が明確でないまま書き始めてしまった。リサーチクエスチョンが曖昧だと、論文全体の方向性がブレます。

テーマ変更という苦渋の決断

DP2年目の6月、ついにテーマを変更する決断をしました。ここまでの3ヶ月間のリサーチはほぼ無駄になりました。精神的にかなりきつかったです。

スーパーバイザー(指導教員)にも相談しました。先生は「もう少し早く相談してくれていれば」と言いつつも、新しいテーマを一緒に考えてくれました。

新しいテーマは「冷戦期における日本の安全保障政策と日米安保条約の影響(1951-1960)」。前のテーマとの違いを整理すると:

  • 時代を「第二次世界大戦」から「1951-1960年」に限定
  • 焦点を「外交政策全般」から「安全保障政策と日米安保条約」に絞る
  • リサーチクエスチョンを「日米安保条約は日本の安全保障政策にどのような影響を与えたか」と明確に

英語の学術資料も豊富にあるテーマだったので、引用元のバランスも取れました。

テーマ変更後の巻き返し

テーマ変更後は、前回の反省を活かして効率よく進められました。

最初の2週間: アウトラインの作成

いきなり書き始めるのではなく、まず論文全体の構成を決めました。章立て、各章で何を論じるか、どの資料を使うかを一覧にした「設計図」を先に作ったんです。これがあると、実際に書くときに迷子にならない。

3-4週目: 第一稿の執筆

設計図に沿って、一気に書き上げました。完璧でなくていい、とにかく全体を通して書く。この段階では文法ミスも気にしません。

5-6週目: 推敲とスーパーバイザーのフィードバック

第一稿をスーパーバイザーに見せて、フィードバックをもらいました。「ここの論理が飛躍している」「もう一つ反対意見を検討した方がいい」など、具体的な指摘が返ってきて、大幅に修正しました。

最終週: 仕上げ

参考文献リストの確認、フォーマットの調整、最終校正。地味だけど大事な作業です。

最終的な結果

最終的にはBの評価をもらえました。Aは取れなかったけど、テーマ変更からの巻き返しとしては上出来だったと思います。最初のテーマのまま無理やり書いていたら、CやDだった可能性もあるので。

この経験から学んだ、EEのテーマ選びのポイント

1. テーマは「狭く、深く」

「面白そう」だけでテーマを決めると、私と同じ失敗をします。4000語で書ける範囲に絞ることが最優先。具体的には:

  • 時代を限定する -「20世紀」ではなく「1951-1960年」
  • 地域を限定する -「世界」ではなく「日本」
  • 問いを一つに絞る -「影響」ではなく「安全保障政策への影響」

目安として、テーマが一文で言い切れないなら広すぎます。

2. 資料の入手可能性を先に確認する

テーマを決める「前」に、執筆言語で十分な学術資料があるか確認してください。Google ScholarやJSTORで検索してみて、関連論文が10本以上見つからないテーマは危険信号です。

3. リサーチクエスチョンを明確にする

「について論じる」ではなく、「どのような影響を与えたか」「なぜ起きたのか」「どの程度有効だったか」など、明確な問いの形にしてください。リサーチクエスチョンが明確なら、答えるべきことが明確になり、論文の方向性がブレません。

4. 早めに動く

私がテーマ変更できたのは、まだ時間があったからです。もし提出直前だったら、低い評価のまま出すしかなかった。EEは「まだ先でしょ」と思いがちですが、早ければ早いほどいいです。

5. スーパーバイザーをフル活用する

スーパーバイザーとの面談は回数が限られていますが、その分一回一回を大切にしてください。「順調です」と言って終わるのではなく、具体的な悩みをぶつけて、フィードバックをもらう。私がもっと早く相談していれば、テーマの問題にも早く気づけたはずです。

6. 志望分野との関連を意識する

大学で学びたい分野とEEのテーマが一致していると、出願時に大きなアドバンテージになります。面接で「なぜこの分野を学びたいのか」と聞かれたとき、「EEでこのテーマを研究して、もっと深く学びたいと思った」と答えられます。

失敗は取り返せる

テーマ選びで失敗しても、早く気づけば修正できます。完璧なテーマを最初から見つける必要はありません。まずは仮テーマで書き始めて、途中で調整していくくらいの気持ちでいいと思います。

大事なのは、一人で悩み続けないこと。スーパーバイザー、IBの経験者、友達。周りの力を借りてください。私のように3ヶ月無駄にする前に。

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