IB Diplomaを取得してから2年が経ちました。大学2年生になった今、IBの2年間を振り返って思うことを正直に書きます。当時は「二度とやりたくない」と思っていたのに、不思議なことに今では「やってよかった」と心から言えます。
IBにいる間はわからなかった価値
IBの2年間、ずっと「なんでこんなに大変なんだろう」と思っていました。課題に追われ、試験に怯え、睡眠を削る日々。「一般の高校に行っていれば、もっと楽だったのに」と何度も思いました。
でも、大学に入って気づいたんです。IBで身につけた力が、あらゆる場面で活きていることに。
大学1年目の最初の週で実感した
大学のオリエンテーションで、教授が「この授業ではクリティカルシンキングが求められます」と言ったとき、心の中で「それ、TOKで2年間やってたやつだ」と思いました。周りの学生が「クリティカルシンキングって何?」と困惑している中、私は「ああ、これなら大丈夫」と安心できました。
この感覚は、大学生活を通じて何度も繰り返し味わうことになります。
大学で「あ、IBのおかげだ」と思った瞬間
レポートが苦じゃない
大学1年目のレポート課題で、周りの学生が「2000語も書けない」と苦しんでいるのを見て驚きました。IBでEEの4000語を書き上げた経験があると、2000語は「半分じゃん」と思えます。
引用の仕方、参考文献リストの作り方、論理的な構成の立て方。全部IBで叩き込まれたことです。特にEEで鍛えられた「主張→根拠→分析→結論」という論文の型は、大学のあらゆるレポートでそのまま使えました。
1年生の秋学期に提出した最初のレポートで、教授から「引用形式が非常に正確です。どこで学びましたか?」と聞かれました。「高校で4000語の論文を書きました」と答えたら、「IBですか?」とすぐにわかってもらえました。IBの認知度は大学教授の間では高いです。
ゼミのディスカッションで活躍
大学のゼミで、教授に「あなたはよく自分の意見を持っていて、それを論理的に説明できるね」と褒められました。これは完全にTOKのおかげです。「知識の本質とは何か」みたいな抽象的なテーマでディスカッションする経験は、大学の学びにそのまま直結しています。
TOKで学んだ「Areas of Knowledge」と「Ways of Knowing」のフレームワークは、大学でも使えます。例えば、ゼミで「この研究結果は信頼できるか?」という議論になったとき、「evidence(根拠)の種類によって信頼度が異なる」という視点をすぐに出せます。これはTOKで散々議論したテーマだからです。
プレゼンに緊張しない
大学では、ゼミや授業でプレゼンをする機会がかなりあります。多くの学生が緊張して声が震えたり、資料を読み上げるだけになったりしている中、私は比較的落ち着いてプレゼンできます。
理由は明確で、IBでTOKプレゼンやIOを何度も経験しているから。「自分の考えを人前で論理的に述べる」という行為に慣れているんです。TOKプレゼンでは10分間、評価者の前で自分の主張を展開し、質疑応答に答えなければならない。あの経験をしていれば、大学のプレゼンは怖くありません。
時間管理ができる
6科目の課題、EE、TOK、CAS、部活、バイト。IBでこれを全部並行していた経験があると、大学の課題管理は余裕に感じます。友達が「レポート3つ重なって無理」と言っているのを聞いて、「IBに比べたらまだマシだよ」と心の中で思っています(口には出しませんが)。
IBで自然と身についた時間管理のスキルは、大学でも圧倒的なアドバンテージです。具体的には、こんな習慣がIB時代に身につきました。
- 締め切りから逆算してスケジュールを立てる
- 複数の課題を並行して進める(一つに集中しすぎない)
- 「完璧」を目指さず「十分な品質」で提出する判断力
- 短い隙間時間も有効に使う
これらは大学の教授が「身につけてほしい」と言うスキルそのものですが、IB卒業生はすでに実践レベルで持っています。
リサーチスキルが段違い
大学のレポートで「学術論文を最低5本引用すること」と指示が出ると、多くの学生が「論文ってどこで探すの?」と困ります。でも、EEで学術データベースを使い倒した経験があると、Google ScholarやJSTORでの文献検索は日常的な作業です。
EEの参考文献の書き方で叩き込まれたAPA形式やMLA形式も、大学でそのまま使えます。参考文献リストの作成に時間を取られないだけでも、レポート執筆の効率が全然違います。
逆に後悔していること
IBの経験を振り返って、「あのときこうしていれば」と思うことも正直にあります。
もっとCASに本気で取り組めばよかった
正直、CASは「こなす」だけで終わらせてしまいました。Reflectionも形式的に書いていただけで、活動自体を楽しむ余裕がなかった。
今になって、CASを本気でやった友達が大学でも課外活動をリードしているのを見ると、もったいなかったなと思います。ある友達はCASでの経験をきっかけにNPOのインターンを始めて、それが就職活動でも大きな強みになっていると聞きました。
CASは「面倒な要件」ではなく「自分の興味を広げるチャンス」だったのに、その価値に気づくのが遅かった。CASのReflectionも、真剣に書いていれば自分の成長を記録できる貴重なツールだったのに。
科目選択をもっと慎重にすべきだった
HLの科目選択を「好きだから」という理由だけで決めてしまいました。大学で学びたい分野との関連性をもっと考えればよかった。結果的にうまくいきましたが、もう少し将来を見据えた選択ができたはずです。
具体的に言うと、私はHistory HLを選びましたが、大学では社会学を専攻しています。もしSociology的な視点をもっと深めたいなら、Psychology HLの方がよかったかもしれません。科目選択のガイドを読んで慎重に選ぶことを強くお勧めします。
先生にもっと質問すればよかった
DPの先生たちは、その分野の専門家です。授業以外にも、勉強法のアドバイスや大学選びの相談など、もっと頼ればよかったと思います。遠慮して聞けなかったことが、今でも少し後悔として残っています。
EEのスーパーバイザーとのミーティングも、最低限の回数しか行きませんでした。でも後から聞くと、積極的にミーティングを活用した友達のEEの方が、完成度が明らかに高かった。先生は「聞かれれば答える」スタンスの方が多いので、自分から動くことが大事です。
健康管理をもっとすればよかった
DP2年目の後半は、慢性的な睡眠不足でした。毎日4-5時間睡眠で、週末に寝だめする生活。今から考えると、睡眠を削って勉強するのは効率が悪いし、体にもよくない。
試験前の2週間は特にひどくて、カフェインの摂りすぎで胃が痛くなりました。大学では健康管理を意識するようになりましたが、IBの時点でその大切さに気づいていれば、もっと楽に乗り越えられたかもしれません。
IB生に伝えたいこと
今IBの真っ最中で辛い人に伝えたいのは、「その辛さは、あなたの力になる」ということです。
キレイごとに聞こえるかもしれないけど、本当にそうなんです。今やっている一つ一つの課題、プレゼン、エッセイが、大学での自分を助けてくれます。
今の自分に足りないものは大学で埋められる
IBで全てが完璧にできなくても大丈夫。私もCASは適当だったし、科目選択を後悔したし、先生にも十分に質問できなかった。でも、大学に入ってからそれらの経験を補うことはできます。
大事なのは、IBで培った「学ぶ力」そのもの。具体的な知識は忘れても、「どうやって調べるか」「どうやって考えるか」「どうやって伝えるか」は身体に染みついています。
一人で抱え込まないで
そしてもう一つ。IBは一人で戦うものじゃありません。友達、家族、先生。頼れる人を見つけてください。一人で全部を抱え込む必要はないんです。
IBTの講師は全員IB卒業生なので、今あなたが感じている辛さを本当に理解しています。「もう無理」と思ったとき、IBを経験した人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが軽くなるはずです。
IB生の保護者の方へ
お子さんがIBを頑張っている姿を見て、「何かしてあげたい」と思っている保護者の方も多いと思います。卒業生の視点から言えることがあります。
「よく頑張ってるね」の一言が一番嬉しかった
IBの内容を理解してほしいとは思っていません。でも、頑張っていることを認めてほしい。「今日も遅くまでやってたね。偉いね」の一言だけで、翌日もまた頑張れます。
結果だけでなくプロセスを見てほしい
IBの最終スコアだけに注目するのではなく、日々の努力を見てあげてください。EEのテーマを何度も変えて悩んでいること、TOKのエッセイを書き直していること、CASの活動に週末を使っていること。その一つ一つが、お子さんの成長です。
IB保護者向けのガイドもぜひ読んでみてください。
2年後の自分へ
もし今のIB生が2年後の自分に手紙を書けるなら、きっと「あのとき頑張ってくれてありがとう」と書くと思います。
少なくとも、私はそう思っています。
あの2年間がなかったら、今の自分はいません。レポートをスラスラ書ける自分も、ゼミで堂々と発言できる自分も、複数の締め切りを冷静に管理できる自分も。全部、IBが作ってくれた自分です。
まとめ
IB卒業から2年が経って実感していることを整理します。
IBが大学で活きていること:
- 論文・レポートの執筆力(EEで鍛えられた)
- ディスカッション・プレゼン力(TOKで鍛えられた)
- 時間管理・マルチタスク力(6科目+コアの並行処理で鍛えられた)
- リサーチ・引用のスキル(EE・IAで鍛えられた)
- クリティカルシンキング(IB全体を通じて鍛えられた)
後悔していること:
- CASをもっと本気でやればよかった
- 科目選択を将来と関連づけて考えればよかった
- 先生をもっと頼ればよかった
- 健康管理をもっとすればよかった
IBは辛いです。でも、その辛さには意味があります。2年後の自分は、必ず「ありがとう」と言ってくれます。