「IBやるなら部活は辞めた方がいい」。DPが始まる前、先輩にそう言われました。
結論から言うと、私はDP2年間ずっとバスケ部を続けました。両立は大変だったけど、辞めなくてよかったと心から思っています。同じように悩んでいるIB生に向けて、実際にどうやって両立したのか、リアルな話をします。
なぜ部活を続けたか
理由はシンプルで、バスケが好きだったからです。中学1年から始めて、DPに上がる時点で4年間続けていた。ポジションはポイントガードで、チームの司令塔。自分が辞めたらチームに穴が空くという責任感もありました。
IBの勉強は頭を使う作業の連続。エッセイを書いて、IAのデータを分析して、TOKのジャーナルを書いて。その中で、体を動かして汗を流す時間は、最高のリフレッシュでした。練習で走り回った後は、頭がスッキリして、勉強の集中力も上がる。
それに、部活を辞めたら空いた時間を全部勉強に充てられるかというと、そうでもない。ダラダラNetflixを見る時間が増えるだけだと、自分の性格的にわかっていました。制限がある方がかえって集中できるタイプなんです。
両立の現実: 1日のスケジュール
正直に言うと、楽ではなかったです。典型的な1日のスケジュールはこうでした。
- 6:30 起床
- 7:30-15:30 学校(授業)
- 15:45-17:45 部活(練習)
- 18:30 帰宅、シャワー、夕食
- 20:00-0:00 勉強
- 0:30 就寝
練習は週4回、放課後2時間。帰宅するのは18時半頃。そこからご飯を食べて、勉強を始めるのは20時。寝るのは0時過ぎ。勉強時間は1日4時間程度。部活がない日は6時間近く勉強できたので、その差をどう埋めるかが課題でした。
テスト前は特にきつかった。練習を休みたい気持ちと、チームに迷惑をかけたくない気持ちの間で葛藤しました。DP Year 2の10月、Mock Exam(模擬試験)の直前1週間は、顧問の先生に相談して練習を3回休ませてもらいました。これは両立する上で必要な判断でした。
時間管理のコツ
スキマ時間を活用する
まとまった勉強時間が取りにくい分、スキマ時間の使い方が命綱でした。
- 通学中の電車(片道30分)で単語帳を見る。英語のvocabularyだけでなく、Biology HLの専門用語もフラッシュカードにして覚えた
- 昼休みの後半15分でIAの論文を1本読む。ご飯を早めに食べ終えて、図書室に移動する
- 部活前の10分で、その日の授業のノートを写真に撮ってスマホに保存。電車の中で見返せるようにした
こうした小さな積み重ねが、1週間で5-6時間の追加勉強時間になりました。IBのスキマ時間活用術も参考にしてみてください。
「捨てる」勇気
全科目を完璧にやるのは無理だと早い段階で割り切りました。SL科目は6を目指す。HLと重要な課題に集中する。この優先順位付けが、両立の鍵でした。
具体的に言うと、SL Mathは授業の内容を理解するだけで十分だったので、宿題以上の勉強はしませんでした。その分、HL BiologyとHL Englishに時間を割いた。全部に100%を注ぐのは不可能だから、「ここだけは絶対落とさない」と決めた科目に集中する。得点戦略について詳しくはIB40点を目指す戦略が参考になります。
週末を有効に使う
平日は部活があるので、まとまった勉強時間は取りにくい。だから週末は午前中から図書館に行って、集中的に勉強しました。土曜の午前9時から12時は毎週「EE/IAの時間」と決めていました。この3時間で、長めのエッセイを書いたり、IAのデータをまとめたり、EEのリサーチを進めたりしました。
日曜は午前中だけ勉強して、午後は完全にオフ。友達と遊んだり、ゲームをしたり。この「完全オフの時間」があったから、平日の過密スケジュールも耐えられたと思います。
「2分ルール」で課題の取りかかりを早くする
大きな課題を前にすると、つい先延ばしにしがちです。特に疲れている部活後は、机に向かうだけで一苦労。そこで「2分ルール」を作りました。課題の最初の2分だけやる、と決めるんです。アウトラインだけ書く。最初の1段落だけ書く。やり始めると意外と進むもので、気づいたら30分経っていることが多かったです。
CASとの連携
部活がCASのActivity要件を自然にカバー
部活をやっていると、CASのActivity要件は自然に満たせます。週4回の練習と試合が、そのままActivityの記録になる。CASコーディネーターに「部活の記録をCASに使っていいですか?」と確認して、OKをもらいました。
さらに、私は部活の後輩向けに練習メニューを考えるプロジェクトをCASとして登録しました。後輩たちの体力やスキルレベルに合わせたメニューを作って、実際に指導する。これでServiceとCreativityも一部カバーできました。
CASリフレクションが書きやすい
CASのリフレクションも、部活のことを書くと自然に筆が進みます。「地区大会で負けたとき、チームメイトと話し合って次の目標を決めた」「後輩に教えることで、自分の理解が深まった」「試合前の緊張とどう向き合ったか」。こうした経験はそのまま成長の記録になるので、リフレクションを「書かされている」という感覚が薄れました。
CASのリフレクションの書き方についてはCASリフレクションの書き方ガイドに詳しくまとめています。
Personal Statementでも使えた
海外大学に出願する際、Personal Statementに「IBの勉強と部活をどう両立したか」を書きました。時間管理、優先順位のつけ方、チームへの責任感。これらは大学側が求める「自己管理能力」や「チームワーク」のエビデンスとして強力でした。面接でも「部活を辞めなかった理由」を聞かれて、自分の言葉で語れたことが好印象につながったと思います。
テスト期間と大会が重なったとき
IB生活の中で一番キツかったのは、DP Year 2の11月でした。Mock Exam(模擬試験)と地区大会がほぼ同じ時期に重なったんです。
Mock Examは12月上旬の2週間。地区大会は11月の最終週末。つまり、大会の翌週からMock Examが始まる。
この時期の過ごし方が、両立の真価を問われる瞬間でした。私がやったことは以下の通りです。
- 大会の2週間前から、部活は練習に集中して体調管理を最優先にした
- 同時に、Mock Examの勉強は「過去問をトピック別に解く」形式に切り替えて、短時間で効率よく進めた
- 大会が終わった翌日から、Mock Examモードに完全切り替え。1日8時間勉強した
- 試合の移動時間(バスの中)でフラッシュカードを見たり、Mark Schemeを読んだりした
結果として、地区大会は3位入賞、Mock Examも目標点数をクリアできました。「どちらかを犠牲にしなくてもいい」と証明できた経験が、自信になりました。
Mock Examの勉強法の記事も参考にしてください。
辞めるべきタイミングもある
両立を推奨する話をしてきましたが、辞めた方がいい場合もあります。以下のサインが出ていたら、一度立ち止まって考えてほしいです。
- 成績が2学期連続で下がっていて、回復の見込みがない
- 部活が原因で睡眠時間が5時間を切る日が週に3日以上続いている
- 精神的に追い詰められていて、楽しいはずの部活にも勉強にも意欲が湧かない
- HL科目のIAやEEに手が回らず、締め切りに間に合わない状況が続いている
こういう状態なら、一旦部活を休むか辞める選択肢も考えてください。IBの成績は大学進学に直結するので、優先順位は間違えないようにしたいです。
部活を辞めることは「負け」じゃありません。DP2年間という限られた時間の中で、何に集中するかを選ぶこと。それ自体が大人の判断です。
部活をしていないIB生にも伝えたいこと
部活をしていなくても、運動する時間は確保した方がいいです。IBは頭を使う作業が多いので、体を動かさないとストレスが溜まる。週に2-3回、30分でもいいからジョギングしたり、筋トレしたり、スポーツしたりする時間を作ると、勉強のパフォーマンスも上がります。
IBのメンタルヘルスとストレス管理の記事でも触れていますが、運動はストレス解消に科学的にも効果が証明されています。
保護者の方へ: 部活と勉強の両立を見守るコツ
まずは応援してあげてほしい
お子さんが「部活も続けたい」と言ったら、まずは応援してあげてほしいです。頭ごなしに「IBなんだから勉強に集中しなさい」と言うと、お子さんのモチベーションが一気に下がることがあります。
定期的なチェックポイントを設ける
そして、1学期ごとに成績と体調を一緒に確認する約束をしてみてください。「成績が下がったら辞める」という条件付きにすると、お子さんも自覚を持って両立に取り組めます。
チェックポイントで確認するべきことは以下の通りです。
- 各科目の成績は目標ラインを維持できているか
- 睡眠時間は十分に取れているか(6時間以上が目安)
- 食事は3食きちんと食べているか
- 表情は明るいか、楽しそうにしているか
「辞めてもいい」という安心感を
両立が厳しくなったとき、お子さんが自分から「辞めたい」と言えるようにしてあげてください。「辞めたら怒られる」「期待を裏切る」と思って無理を続けるのが一番危険です。「辛かったらいつでも辞めていいからね」という一言が、実はお子さんの支えになります。
まとめ
IBと部活の両立は可能です。ただし、それには計画性と覚悟が必要です。
- スキマ時間の活用、週末の集中勉強、SL科目の思い切った割り切りが鍵
- 部活はCASの要件を自然にカバーでき、リフレクションも書きやすい
- Personal Statementで「両立の経験」は強力なアピールポイントになる
- 成績や体調に深刻な影響が出ていたら、辞める選択肢も間違いじゃない
- 保護者は応援しつつ、定期的に成績と体調をチェックするのが大事
逆に言えば、この両立を乗り越えた経験は、大学のPersonal Statementでも強力なアピールポイントになります。IBと部活、どちらも全力で取り組んだ2年間は、間違いなく自分の財産です。