CASと聞いて、最初に思ったのは「面倒くさそう」でした。Creativity、Activity、Serviceの3つを満たす活動を継続的にやらないといけない。正直、勉強だけで精一杯なのに、と思っていました。

でも今振り返ると、CASこそが私のIB生活で一番価値のある経験だったと言えます。この記事では、CASに対する気持ちがどう変わっていったのか、そしてCASが進路にどう影響したのかを、リアルにお話しします。

最初はとにかく「こなす」だけだった

DP1年目、多くのクラスメートと同じように、私も「何でもいいから早く条件を満たそう」と考えていました。

  • Activity: バドミントン部の活動で埋める
  • Creativity: 美術の授業の延長で、放課後にスケッチをする
  • Service: 学校が用意した地域清掃ボランティアに参加

正直、やらされている感しかなかったです。CASのリフレクション(振り返りレポート)を書くのも、「何を書けばいいかわからない」「とりあえず何かポジティブなことを書いておこう」という感じで、形だけのものでした。

CASの7つの学習成果って何?

CASには7つのラーニングアウトカム(学習成果)があります。

  1. 自分の強みと成長すべき分野を認識する
  2. 新しいことに挑戦する
  3. 活動を計画し、実行する
  4. 他者と協力する
  5. 粘り強さとコミットメントを示す
  6. グローバルな問題に取り組む
  7. 自分の選択とその結果の倫理的影響を考える

最初はこれを読んでも「で、具体的に何をすればいいの?」としか思いませんでした。でも後から振り返ると、この7つを意識するかしないかで、CASの質が全く変わることに気づきました。

転機は地域の子ども向け英語教室

DP1年目の後半、友人に誘われて、地域の小学生向けに英語を教えるボランティアに参加しました。最初は「Service活動のネタになればいいや」くらいの気持ちだったんです。

でも、実際にやってみたら、子どもたちに英語を教えるのがすごく楽しかった。

「先生、今日も来てくれたの?」と笑顔で言われたとき、嬉しくて。子どもが「Apple!」と元気に発音できるようになった瞬間、自分のことのように達成感を感じました。

この「誰かの成長を手伝うことの喜び」は、バドミントンや地域清掃では感じなかったものでした。

自分でCASプロジェクトを立ち上げた

そのうち、もっとちゃんとやりたいと思うようになりました。既存のボランティアに参加するだけでなく、自分で企画を立ち上げることにしたんです。

計画段階でやったこと

  • 対象年齢を小学3-4年生に絞り、英語レベルに合ったカリキュラムを作成
  • 毎週土曜日の午前中に公民館の会議室を借りて、1時間の教室を開催
  • 教材は手作り。絵カード、ワークシート、歌の歌詞カードなど
  • 友人2人を巻き込んでチームで運営
  • 地域の小学校にチラシを配って参加者を募集

実施中の学び

半年間で全24回の教室を開催しました。最初は5人だった参加者が、口コミで15人まで増えました。

思い通りにいかないことも多かった。子どもたちが集中してくれない日、準備した教材のレベルが合わなかった日、チームメンバーが体調不良で来られなくなった日。

でも、そのたびに「どうすれば改善できるか」を考えて、次の回に活かす。この試行錯誤のプロセスが、CASのラーニングアウトカムの3番(計画と実行)と5番(粘り強さ)そのものでした。

CASリフレクションが変わった

プロジェクトを始めてから、リフレクションの質が劇的に変わりました。「とりあえず何か書く」ではなく、「今日の教室で何がうまくいったか、何を改善すべきか、自分はどう成長したか」を具体的に書けるようになった。

リフレクションは形だけのものではなく、自分の成長を記録する大切なツールだと、初めて実感しました。

大学の志望動機に直結した

この経験が、大学選びを大きく変えました。元々は「なんとなく経済学部かな」と思っていたんですけど、CASを通じて教育に強い興味を持つようになった。

「異なる言語背景を持つ子どもたちに、どうすれば効果的に言語を教えられるか」。この問いが、大学で学びたいテーマになりました。

Personal Statementでの活用

大学のPersonal Statementにも、このCASプロジェクトの経験を中心に書きました。単に「ボランティアをしました」ではなく、具体的なエピソードと、そこから何を学んだかを詳しく記述しました。

面接でも「CASでの教育活動について詳しく教えてください」と聞かれて、自分の言葉で熱く語れました。面接官が身を乗り出して聞いてくれたのを覚えています。

結果的に、教育学部に合格。今はIBTで講師をしています。CASがなかったら、全く違う道を歩んでいたと思います。

CASで大切なのは「自分ごと」にすること

CASを「こなす」だけで終わらせるのは本当にもったいないです。私が思うCASのコツをまとめます。

1. 最初は何でもいいから手を出す

完璧な活動を見つけてからスタートする必要はありません。いろいろ試してみて、「あ、これ楽しいかも」と思えるものに出会えればラッキー。私も英語教室に出会ったのは偶然でした。

2. 「面白い」と思えたら、そこを深掘りする

既存のボランティアに参加するだけでなく、自分でプロジェクトを立ち上げると、達成感が全然違います。小さくてもいいので、「自分が主体」の活動を一つ作ってみてください。

3. CASリフレクションを本気で書く

面倒だけど、後から見返すと自分の成長がわかります。そして、大学出願のときに素材として使えます。日記のように感じたことを正直に書くのが一番いい。

4. CreativityとServiceを組み合わせる

私の場合、教材を自分でデザインする(Creativity)と英語を教える(Service)を一つのプロジェクトで実現しました。無理に3つの要素を別々の活動で満たすより、一つのプロジェクトで複数を満たす方が、深い学びになります。

5. 大学受験で強い武器になることを意識する

海外大学はもちろん、国内のIB入試でも、CAS活動は必ず聞かれます。本気でやっておくと、面接で「自分の言葉で語れる体験」になります。

保護者の方へ

お子さんが「CASが面倒」と言っていたら、少しだけ見守ってあげてください。最初はやらされている感があっても、続けるうちに変わることがあります。

もし何をやればいいかわからないなら、お子さんの趣味や興味から一緒に考えてみてください。スポーツが好きなら地域のスポーツ教室のボランティア、音楽が好きなら老人ホームでの演奏会、プログラミングが好きなら小学生向けのコーディング教室。

CASは「すごいこと」をやる必要はありません。大切なのは、自分が本気で取り組めるかどうか。その姿勢が、結果的に「すごい経験」を生み出してくれます。

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