IBを卒業して数年経ちますが、今でも一番連絡を取るのはIB時代の友達です。大学の友達とも仲がいいけど、IBの仲間とは「戦友」のような特別な絆があります。この記事では、DPの2年間で生まれた友情がどんなものだったか、具体的なエピソードを交えてお伝えします。
一緒に戦った仲間
DPの2年間は、本当にハードでした。課題の締め切りが3つ重なる週、EEの進捗に焦る夜、試験前の不安。そういう辛い経験を共有した仲間とは、自然と深い関係になります。
深夜にLINEグループで「今何やってる?」「化学のIA。死にそう」「私もEEの参考文献が見つからなくて泣きそう」みたいなやりとりをしていたのを覚えています。一人じゃないと思えるだけで、頑張れました。
締め切りラッシュを乗り越えた11月
特に忘れられないのがDP2年目の11月です。この月はEEの最終提出、TOKエッセイの下書き、Chemistry HLのIAデータ分析、そしてMaths AAのIAドラフトが全部重なっていました。正直、何から手をつければいいかわからない状態でした。
そんなとき、友達の一人が「今週は毎日学校の図書館に残ろう」と提案してくれました。6人くらいが毎日18時まで図書館に残って、それぞれの課題を進めました。休憩時間にはお互いの進捗を報告し合って、「あと3日で終わらせよう」と励まし合いました。
一人だったら確実に心が折れていたと思います。友達が隣で同じように苦しんでいるという事実が、不思議と力をくれました。
試験前夜のグループ通話
DP最終試験の前夜、不安で眠れないメンバーが多くて、夜中の1時くらいにグループ通話が始まりました。勉強の話はほとんどしなくて、「試験終わったら何する?」「焼肉食べに行こう」みたいな話で盛り上がりました。
たった30分くらいの通話でしたが、「明日も頑張ろう」と思えたのを覚えています。IBの友情には、こういう何気ない瞬間がたくさんあります。
グループ学習の力
IBでは、グループ学習がとても効果的です。私たちは毎週末、学校近くの図書館に集まって勉強会をしていました。多いときは10人近く集まることもありました。
一人で勉強するより効率がいい理由はいくつかあります。
- 自分が理解していることを人に教えると、さらに理解が深まる
- 自分では気づかなかった視点をもらえる
- お互いの進捗が見えるので、サボれない
- わからないことをその場で解決できる
- 科目が違う友達からヒントをもらえることもある
TOKディスカッションの練習
特にTOKのディスカッション練習は、友達同士でやるのが一番よかったです。お互いの主張に反論したり、新しい視点を出し合ったりすることで、本番のTOKプレゼンの質が格段に上がりました。
ある日のTOK練習では、「科学的知識は客観的か」というテーマで3時間議論しました。最初は全員「客観的に決まっている」と思っていたのに、議論を重ねるうちに「観察者の文化的背景が影響するのでは」という視点が出てきて、全員の考えが変わりました。こういう体験は一人では絶対にできません。
EEの相互レビュー
EE(Extended Essay)を書いているときも、友達同士のレビューがとても役に立ちました。自分では気づかない論理の飛躍や、説明不足な箇所を指摘してもらえるからです。
私はHistory HLのEEを書いていましたが、Chemistry HLのEEを書いている友達にも読んでもらいました。専門外の人が読んで理解できるかどうかを確認するのは、論文の質を上げるうえで非常に有効でした。友達からの「ここ、何を言いたいのかよくわからない」というフィードバックが、一番ありがたかったです。
IA対策も協力して
各科目のIA(Internal Assessment)も、友達と協力して乗り越えました。もちろんIAは個人作業ですが、「このデータ分析、どう思う?」「グラフの見せ方はこっちの方がわかりやすくない?」といったフィードバックは本当に助かりました。
Biology HLのIAでは、実験のデータ収集方法について友達とアイデアを出し合いました。私が考えていた方法には変数のコントロールに問題があることを友達が指摘してくれて、実験設計を大幅に改善できました。
競争ではなく協力
IBの成績は絶対評価なので、友達が高い点数を取ったからといって自分の点数が下がるわけではありません。これが相対評価の受験とは大きく違うところです。
だからこそ、ノートを共有したり、良い参考文献を教え合ったりすることに抵抗がありませんでした。「みんなで高い点数を取ろう」という雰囲気が自然にできていました。
嫉妬を乗り越えた経験
もちろん、時にはうまくいかないこともあります。友達がMaths AA HLで7を取ったとき、自分は5で、正直かなり落ち込みました。一瞬、友達を素直に祝えない自分がいました。
でも、その友達が「次のテストに向けて一緒に勉強しよう。私がわかるところは全部教えるから」と言ってくれたんです。嫉妬よりも「一緒に頑張ろう」という気持ちの方が大きくなりました。結局、次のテストでは6まで上がることができました。
ノート共有の文化
私たちのグループでは、Google Driveの共有フォルダを作って、各科目のノートやまとめを共有していました。誰かが作った「Physics HLの公式まとめ」や「History HLの年表」は、全員の試験勉強に役立ちました。
一人で全科目のまとめを作るのは時間的に不可能ですが、6人で分担すれば無理なく作れます。この協力体制は、IBの絶対評価だからこそ成り立つものだと思います。
多国籍の友達
IBは世界中で同じカリキュラムを学んでいるので、国際的なつながりもできます。私のクラスには、日本、韓国、アメリカ、インド、ブラジルなど、さまざまな国の生徒がいました。
文化の違いが学びになる
異なるバックグラウンドを持つ友達との交流は、日々が学びの連続でした。TOKで「異なる文化的視点」を考えるときにも、教科書の例ではなく実際の友達の体験を聞けるのは大きなアドバンテージです。
例えば、「歴史的事実の解釈は文化によって異なるか」というTOKのテーマを議論したとき、日本人の私と韓国人の友達で第二次世界大戦に対する見方が全く違うことに気づきました。教科書では学べない「生きた知識」を、友達から教わりました。
卒業後も世界中に友達がいる
大学に進学した今でも、世界中に友達がいるというのはIBならではの財産です。アメリカの大学に進んだ友達、イギリスの大学に行った友達、オーストラリアで学んでいる友達。SNSを通じて近況を報告し合い、たまにオンラインで集まることもあります。
留学先で困ったとき、その国にいるIB時代の友達が助けてくれたこともあります。IBのネットワークは卒業後もずっと続きます。
CAS活動で深まる仲間意識
CAS(Creativity, Activity, Service)の活動も、友情を深める大きなきっかけでした。私たちのグループは、地域のフードバンクでのボランティアを一緒に行いました。
毎月1回、土曜日の朝から活動して、終わった後にランチに行くのが定番でした。勉強とは違う場面で一緒に過ごすことで、友達の新しい一面を発見できました。普段は物静かな友達がボランティア先ではリーダーシップを発揮していたり、逆に成績トップの友達が不器用な一面を見せたり。
CASの活動を通じて、「勉強仲間」から「本当の友達」になれた気がします。
卒業後も続く関係
IBを卒業して数年経った今でも、IB時代の友達とは定期的に会っています。年に1回は「IB同窓会」と称して集まり、当時の思い出話で盛り上がります。
面白いのは、大学でできた友達には「IBの話」が通じないこと。「EEの締め切り前に3日徹夜した話」とか「TOKプレゼンで頭が真っ白になった話」は、IB経験者にしかわからない。だからこそ、IB時代の友達との会話は特別な楽しさがあります。
最近、IBの同級生が就職活動で悩んでいたとき、グループLINEで「みんなで相談に乗ろう」と声がかかりました。IBのときと同じように、みんなで一人を支える構図。この関係は、きっと10年後も20年後も変わらないと思います。
IB生の保護者の方へ
お子さんがIBの課題で大変そうなとき、「友達と一緒に勉強したい」と言ったら、なるべく応援してあげてほしいです。グループ学習は遊びではなく、IBでは非常に効果的な学習法です。
グループ学習を支える環境づくり
具体的にできることはいくつかあります。
- 友達が家に来て勉強するときは、飲み物や軽食を用意してあげる
- 図書館やカフェでの勉強会に送り迎えをしてあげる
- 「遊んでいるだけじゃないの?」と疑わず、信頼して見守る
- グループ学習の成果を聞いてあげる(「今日は何を勉強したの?」)
IBのグループ学習は、大学でのゼミやグループワークの予行演習でもあります。協力して課題に取り組む力は、社会に出てからも必ず活きます。
お子さんの愚痴を聞いてあげてください
お子さんが家でIBの愚痴を言っているとき、それは友達とも共有している辛さです。「同じように頑張っている仲間がいるんだね」と声をかけてあげてください。
「うちの子は友達と一緒にいる時間が多すぎる」と心配になるかもしれません。でも、IBにおける友達の存在は単なる息抜きではなく、学習のモチベーションを維持するための大切な要素です。IBの保護者向けガイドもぜひ参考にしてみてください。
まとめ
IBの2年間で得た友情は、一生ものです。辛い経験を一緒に乗り越えた仲間は、大人になってからも支え合える存在になります。
IBの友情が特別な理由をまとめると、こうなります。
- 絶対評価だから、競争ではなく協力の関係が自然にできる
- 同じ厳しさを経験しているからこそ、お互いの辛さを本当に理解できる
- グループ学習やTOKディスカッションを通じて、深い知的交流ができる
- 多国籍な環境で、世界中に一生つながれる友達ができる
- CAS活動を通じて、勉強以外の場面でも絆が深まる
今IBの最中にいる人は、ぜひ周りの仲間を大切にしてください。その友情は、IBが終わった後もずっとあなたの人生を豊かにしてくれます。