結論:TOKとEEで両方A評価を取れば3点のボーナスがつき、合計点を42点から45点に押し上げられます。逆にどちらかでE評価を取るとディプロマそのものが不合格になります。
IB DP(ディプロマプログラム)の合計点は45点満点ですが、6科目の最高点を足しても42点までしか届きません。残りの3点はどこから来るのか。答えは Core(コア)の3要素 ― TOK(Theory of Knowledge)・EE(Extended Essay)・CAS(Creativity, Activity, Service)です。
この3点は単なる「おまけ」ではありません。37点で不合格になる大学と、40点で合格する大学。その差3点を決めるのがCoreボーナスです。本記事では公式のTOK×EE配点マトリクスを完全再現し、どの組み合わせで何点入るのか、E評価の失格条件とは何か、DP1・DP2のうちにできる戦略まで、IBO公式ルールに準拠して解説します。
目次
- IB DPの45点はどう構成されているか
- Coreの3要素:TOK・EE・CASの役割
- TOK×EE配点マトリクス完全表
- マトリクスの読み方:3点・2点・1点・0点の境界線
- E評価 = ディプロマ不合格:絶対に避けるべき落とし穴
- CASはpass/fail:点数にならないが合否を決める
- DP1・DP2の学年別戦略
- よくある失敗パターンと回避策
- FAQ
- 出典・関連記事
IB DPの45点はどう構成されているか
まず全体像を整理します。IB Diploma Programmeの最終スコアは以下の式で決まります。
- 6科目 × 最大7点 = 42点(HL3科目・SL3科目が標準構成)
- TOK × EE のマトリクスボーナス = 0〜3点
- CAS = pass/fail(点数への加算なし、ただし未完了で不合格)
つまり 42点 + 3点 = 45点 が満点です。「科目で42点取れば満点」ではなく、TOKとEEでAを揃えて初めて45点に到達します。
なぜ3点ボーナスが重要か
大学出願のボーダーラインで3点の差がどう効くか、具体例を見てみましょう。
- オックスフォード大学PPE:要求スコア38〜40点(科目ごとのHL 6以上条件付き)
- LSE Economics:要求スコア38点(HL 766)
- 東京大学PEAK:DP 38点以上を目安
- 早稲田国際教養・上智国際教養:DP 32〜36点が合格者ボリュームゾーン
6科目で36点(HL 6×3 + SL 6×3)の生徒が、TOK=A・EE=A で3点を取れば 39点 になります。出願可能な大学群が一段階広がります。逆にTOK=C・EE=Cで1点しか取れなければ37点に留まり、同じ努力量でも選択肢が狭まります。
Coreの3要素:TOK・EE・CASの役割
Coreは「科目横断的な学び」を担保するIBの中核です。3つがそれぞれ異なる評価方式を持ちます。
TOK(Theory of Knowledge)
知識の本質を問う必修科目。2年間で約100時間の授業を受けます。評価物は2つ。
- TOK Essay(外部評価):指定された6つのprescribed titleから1つ選び、1600語で論述
- TOK Exhibition(内部評価):3つのobjectを選び、IA promptに沿って950語で分析
この2つを合わせてA〜Eの5段階で最終評価されます。
EE(Extended Essay)
自分が選んだ科目領域で4000語の研究論文を書く必修要件。DP1の後半からDP2の前半にかけて約40時間かけて取り組みます。スーパーバイザー(指導教員)との3回の公式面談(リフレクションセッション)が必須で、最後の面談は「viva voce」と呼ばれます。評価はA〜Eの5段階。
CAS(Creativity, Activity, Service)
課外活動ポートフォリオ。18ヶ月以上にわたって創造性・身体活動・奉仕活動をバランスよく実施し、7つのLearning Outcomesを達成したことをリフレクションで示します。点数評価はなく pass/fail のみ。ただしfailになるとディプロマが出ません。
TOK×EE配点マトリクス完全表
ここが本記事の核心です。IBO公式のDiploma Points Matrixを正確に再現します。
| EE \ TOK | A | B | C | D | E |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 3 | 3 | 2 | 2 | 不合格 |
| B | 3 | 2 | 2 | 1 | 不合格 |
| C | 2 | 2 | 1 | 0 | 不合格 |
| D | 2 | 1 | 0 | 0 | 不合格 |
| E | 不合格 | 不合格 | 不合格 | 不合格 | 不合格 |
(縦軸:EEの評価、横軸:TOKの評価。セルの値がボーナスポイント)
3点が取れる組み合わせ(最大)
- EE=A・TOK=A
- EE=A・TOK=B
- EE=B・TOK=A
片方がAなら、もう片方はB以上で3点満点が狙えます。「両方A必須」ではありません。
2点の組み合わせ
- EE=A・TOK=C
- EE=A・TOK=D
- EE=B・TOK=B
- EE=B・TOK=C
- EE=C・TOK=A
- EE=C・TOK=B
- EE=D・TOK=A
1点の組み合わせ
- EE=B・TOK=D
- EE=C・TOK=C
- EE=D・TOK=B
0点の組み合わせ
- EE=C・TOK=D
- EE=D・TOK=C
- EE=D・TOK=D
不合格になる組み合わせ
- EEまたはTOKのいずれかがE評価
マトリクスの読み方:3点・2点・1点・0点の境界線
表を見て気づくのは、マトリクスが対称であること。EE=A・TOK=BもEE=B・TOK=Aも同じ3点です。どちらを得意にしても等価に評価されます。
もう一つの重要ポイントは、片方で高評価を取れば、もう片方の失敗をカバーできること。
- EE=A・TOK=D → 2点(救済あり)
- EE=D・TOK=A → 2点(救済あり)
Aを1つでも取れれば、もう片方がDでも2点入る。これは戦略的に大きな意味を持ちます。「TOKが苦手ならEEで全力」「EEのテーマが弱ければTOKで挽回」という配分が可能です。
逆に 両方中途半端(EE=C・TOK=C)だと1点しか入りません。「どちらもそこそこ」より「片方に全力投球」のほうが効率的です。
E評価 = ディプロマ不合格:絶対に避けるべき落とし穴
IB DPのpassing criteriaには複数の不合格条件があります。TOK/EEに関わる条件は以下の通り。
絶対的失格条件(failing condition)
- TOKまたはEEのいずれかで E評価 を取った
- TOKエッセイまたはEEが NS(Not Submitted) となった(期限までに未提出)
E評価でもNSでも、他科目で42点中40点を取っていてもディプロマは授与されません。成績証明書(Transcript)に個別の科目成績は記載されますが、正式なIB Diplomaは発行されず、大学出願時に重大な不利となります。
その他のpassing criteria(参考)
IBO公式では、ディプロマ授与の最低条件として以下も設定されています。
- 合計点24点以上
- 全科目で2以上の評価
- HL3科目で合計12点以上
- SL3科目で合計9点以上
- 2評価(SL/HL合計)が2科目以下
- 3評価以下(SL/HL合計)が3科目以下
- CASのrequirements達成
TOKとEEは「1つでもEならアウト」という 単独失格要件 を持つ点で、他科目と性質が違います。科目単位の評価と違い、TOK/EEは「合格か失格か」がまず先に決まり、その後にマトリクスでボーナス計算に入るイメージです。
CASはpass/fail:点数にならないが合否を決める
CASはマトリクスには登場しません。しかしCAS未完了は CAS Condition として独立した不合格要件になります。
CASの合格要件
- 18ヶ月以上の継続的活動
- Creativity・Activity・Serviceの3領域すべてに取り組む
- 少なくとも1つのCAS Project(複数の領域にまたがる大型プロジェクト)
- 7つのLearning Outcomesすべての達成をエビデンスとともに示す
- CAS Coordinatorとの3回の面談
- ポートフォリオの完成
CASで点数は加算されませんが、「点数に影響しないから適当でいい」は危険です。CASをサボってfail判定が出ると、42点取ってもディプロマは出ません。
CASの具体的なアイデアや記録の書き方は関連記事 /blog/ib-cas-project-ideas-japan/ で詳しく解説しています。
DP1・DP2の学年別戦略
Coreボーナスを確実に取るには、2年間のスケジュール管理が命です。
DP1前半(9月〜12月)
- TOK:基礎的な概念(Ways of Knowing、Areas of Knowledge、IA prompts)を理解する
- EE:科目の候補を3つほど絞り始める。興味のある分野を広く読む
- CAS:活動を始める。最初のリフレクションを書き始める
DP1後半(1月〜6月)
- EE:スーパーバイザーを決定し、研究設問(RQ)を固める
- EE:1回目の公式リフレクション(First Reflection Session)
- TOK:Exhibitionの準備開始。objectの候補を探す
- CAS:Projectの構想を練る
DP1終了〜DP2開始(7月〜9月)
- EE:夏休みに大量の1次資料・2次資料を読み、ドラフト執筆に入る
- TOK:Exhibitionを仕上げる
- EE:2回目の公式リフレクション(Interim Reflection Session)
- CAS:Projectを実施
DP2前半(10月〜12月)
- EE:最終稿を仕上げ、viva voce(最終面談)を実施
- EE:正式に提出(学校の内部締切を厳守。NSは即失格)
- TOK:Essayのprescribed titleが公開される。ドラフト開始
DP2後半(1月〜5月)
- TOK:Essayを仕上げて提出
- CAS:最終リフレクション、ポートフォリオ完成
- 本試験:6科目の最終試験
EEのタイムラインはとくにタイトです。DP1の夏休みに本格執筆に入れるかどうかが、A評価とC評価の分かれ目になります。40点以上の総合戦略は /blog/ib-dp-40-points-strategy/ で詳述しています。
よくある失敗パターンと回避策
失敗1:EEのテーマ選びを軽視する
「なんとなくHistoryで」「先生に勧められたから」では深い研究になりません。自分が4000語書き続けても飽きないテーマ を選ぶことが最大の戦略です。科目別のテーマ設計の詳細は /blog/ee-complete-guide/ を参照してください。
失敗2:TOKを「哲学っぽい作文」と誤解する
TOKは知識の生成と正当化を問う厳密な科目です。私見や感想文ではAは取れません。Knowledge Question(知識の問い)を正確に立て、具体的なreal-life situationと結びつける構成力が必要です。TOKエッセイの書き方は /blog/tok-complete-guide/ で詳しく解説しています。
失敗3:リフレクションを後回しにする
EEのReflection Session記録(RPPF)もCASのリフレクションも、「後でまとめて書く」は破綻します。活動直後の生の気づきを残すのがリフレクションの本質です。スーパーバイザーはRPPFも評価の一部として見ています。
失敗4:提出期限を勘違いする
NS(Not Submitted)は即失格。学校の内部締切はIBOの最終締切より数週間早いのが普通です。カレンダーに両方記入しましょう。
失敗5:CASを量で誇示する
CASは活動時間の多さで評価されません。7つのLearning Outcomesを達成したことを 具体的なエビデンスとリフレクション で示せるかが全てです。「週3回部活で1年間継続」だけでは不十分なことがあります。
FAQ
Q1. TOKとEEで両方Bだと何点ですか?
A. 2点です。 マトリクスで EE=B × TOK=B = 2。「両方B」は「AとC」より価値があります。中間の安定評価は決して悪くありません。
Q2. EE=A・TOK=Eだと何点になりますか?
A. 不合格(failing condition)です。 どれだけ片方が良くても、もう片方がEになればディプロマ自体が授与されません。ボーナス云々以前の問題になります。
Q3. TOKとEEのどちらに力を入れるべきですか?
A. どちらも同等です。 マトリクスが対称なので、得意な方に寄せて問題ありません。EEは4000語の長期戦、TOKは複数課題を並行処理する形式なので、自分の思考・作業スタイルに合う方で高評価を狙いましょう。
Q4. Coreボーナス3点を取れる生徒の割合は?
A. 世界平均で約8%です。 Philpot Educationが示す世界統計では、3点獲得者8%、2点36%、1点26%、0点30%。3点は希少価値がありますが、2点以上なら約44%が取れています。
Q5. 国内IB校と海外IB校でCore評価に差はありますか?
A. ありません。 TOKとEEはIBO本部が外部評価を行うため、学校による評価インフレ・デフレはありません。CASのみ学校の内部判定ですが、合否のpass/fail判定なのでスコアには影響しません。世界共通の基準で評価されます。
出典
- International Baccalaureate Organization, “Diploma Programme core: The extended essay, TOK and CAS” (https://ibo.org/programmes/diploma-programme/curriculum/dp-core/)
- International Baccalaureate Organization, “DP passing criteria” (https://ibo.org/about-the-ib/what-it-means-to-be-an-ib-student/recognizing-student-achievement/about-assessment/dp-passing-criteria/)
- International Baccalaureate Organization, “Diploma Programme Assessment procedures 2026” (General regulations)
- Philpot Education, “Extended essay: TOK/EE matrix” (https://philpot.education/mod/page/view.php?id=423)
関連記事
- IB Extended Essay (EE) 完全攻略ガイド
- TOK(Theory of Knowledge)完全攻略ガイド
- IB DPで40点を取る戦略
- IB CASプロジェクトのアイデア30選
- IB DPの科目選び完全ガイド
IB Coreの3点ボーナスは、戦略次第で確実に取りにいける得点源です。TOK・EE・CASそれぞれに早くから計画的に取り組めば、42点から45点への道が開けます。IB卒業生が1対1でサポートする IB Tutors(ib-tutors.net) では、EEのテーマ設計からTOKのknowledge question整理まで、個別にご相談いただけます。