IB入試とは

IB(国際バカロレア)入試とは、IBディプロマプログラム(DP)の成績を活用して大学に出願できる入試制度です。日本国内では、文部科学省の推進もあり、IBスコアを活用できる大学が年々増加しています。

2026年1月時点で、国内でIBスコアを活用した入試を実施している大学は82校にのぼります(国立27校、公立8校、私立47校)。文部科学省は「IB教育推進コンソーシアム」を設置し、IB教育の普及と大学入試での活用を積極的に後押ししています。

IBディプロマ資格を持つ者には、日本の大学への入学資格が認められており、多くの大学がAO入試や総合型選抜、帰国子女特別選抜などの出願資格の一つとしてIB資格を募集要項に明記しています。選抜方法としては、IBスコアに加え、小論文や面接などを総合して判定する大学が多いです。

IB入試の大きなメリットは、一般入試とは異なる評価軸で選抜が行われる点です。IBで培った批判的思考力、探究心、プレゼンテーション能力などが評価対象となるため、IB生の強みを活かした受験が可能になります。

ただし、大学ごとに要件は大きく異なり、年度によって変更されることがあります。 本記事の情報はあくまで参考としてご活用いただき、必ず各大学の公式募集要項で最新の情報をご確認ください。


国立大学のIB入試

国立大学では、IBスコアを活用できる入試制度を導入する大学が増えています。ここでは、特にIB生に人気の高い主要国立大学をご紹介します。

東京大学

東京大学では、IB生が出願できる入試制度として以下の2つがあります。

1. 学部英語コース特別選考(PEAK)

PEAKは、東京大学の英語で学位を取得できるプログラムです。9月入学で、教養学部に設置されています。出願にはIBディプロマ、SAT、ACT、GCE A-levelsなどの標準化試験スコアの提出が求められます。

なお、PEAKは2026年9月入学者の選抜をもって新規募集を停止することが発表されています。今後の動向については東京大学の公式サイトで最新情報を確認してください。

2. 外国学校卒業学生特別選考

海外の高校やインターナショナルスクールを卒業したIB生が対象です。IBディプロマの成績に加え、TOEFL iBTやIELTSなどの英語力証明、志望理由書、面接などが課されます。

各入試の詳細なスコア要件や科目指定は年度により変更される可能性があります。各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

京都大学(特色入試)

京都大学の特色入試は、学力試験だけでは測れない多様な能力を評価する選抜方式です。IBディプロマの成績は「顕著な活動実績」の一つとして評価対象となります。

特色入試はほぼ全学部で実施されていますが、学部ごとに求められる要件や選考プロセスが異なります。書類審査に加え、共通テストの成績や面接が課される学部もあります。

IBの成績がどの程度評価されるかは学部によって異なるため、志望学部の募集要項を個別に確認することが重要です。各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

大阪大学

大阪大学では、複数の学部で国際バカロレア資格を活用した出願が可能です。総合型選抜や学校推薦型選抜の中でIBスコアを評価する学部があります。

出願時には「国際バカロレア資格証書のコピー」と「国際バカロレア資格最終試験6科目の成績評価証明書の原本」の提出が求められます。取得見込みの場合は、定められた期日までに正式な資格証書と成績評価証明書を提出する必要があります。

外国語学部や経済学部、人間科学部などでIBスコアの活用が確認されていますが、対象学部や要件は年度により変わることがあります。各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

筑波大学(国際バカロレア特別入試)

筑波大学は、国立大学の中でもIB入試に積極的な大学の一つです。「国際バカロレア特別入試」として、7月募集(4月入学)と10月募集(4月入学)の2回の出願機会があります。

2026年度の7月募集では、人間学群(教育学類、心理学類、障害科学類)や医学群(医学類)などで募集が行われています。

出願資格としてIBディプロマを取得済みであることが求められ、取得見込みでは出願できない点に注意が必要です。選考方法は書類審査および面接・口述試験です。

対象学群・学類や選考方法は年度によって変更される可能性があります。各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

東北大学

東北大学では、国際バカロレア入試を実施しています。学生募集要項および出願書類はウェブサイトで公表されています。

選考は書類審査と面接を組み合わせて行われるのが一般的で、IBディプロマの成績が重要な評価要素となります。対象学部や具体的な要件については、東北大学アドミッション機構の公式サイトで最新情報を確認してください。

各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

名古屋大学

名古屋大学では、10月入学の国際プログラム群での入試や、4月入学の各学部における総合型選抜などでIBスコアを活用できる場合があります。

国際プログラムでは英語で授業を受けることができ、海外の教育課程を修了したIB生にとって魅力的な選択肢となっています。

対象プログラムや要件の詳細は年度によって変更される可能性があります。各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

九州大学

九州大学でも、一部の学部でIBスコアを活用した入試が実施されています。国際教養学部をはじめ、複数の学部で帰国子女選抜や国際入試の枠が設けられています。

具体的な対象学部やスコア要件は年度によって変動するため、九州大学の入試情報サイトで最新の募集要項を確認してください。

各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

北海道大学

北海道大学では、国際総合入試やフロンティア入試(総合型選抜)、帰国生徒選抜などの制度があり、IBの成績を活用できる入試枠が用意されています。

北海道大学は多様な入試制度を持つ大学であるため、自分に最も適した入試方式を選ぶことが重要です。

各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

岡山大学(グローバル・ディスカバリー・プログラム / GDP)

岡山大学のグローバル・ディスカバリー・プログラム(GDP)は、英語で学位を取得できる学際的なプログラムです。社会科学、人文科学、自然科学を横断的に学べる点が特徴です。

岡山大学は国立大学の中でも早い時期(2012年)からIBを活用した入試を開始した先駆的な大学です。GDPではIBディプロマ取得者だけでなく、取得見込者やサーティフィケート取得者も歓迎されています。

国際入試(総合型選抜)として、書類審査と面接による選考が行われます。面接は例年3月頃に実施されています。

各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。


私立大学のIB入試

私立大学では、国立大学以上にIBスコアを活用した入試制度が充実しています。英語学位プログラムを持つ大学も多く、IB生にとって選択肢が豊富です。

早稲田大学

早稲田大学は、IBスコアを活用できる入試制度が非常に充実しています。

日本語学位プログラム(4月入学)

  • 政治経済学部 - グローバル入試
  • 国際教養学部 - AO入試(国内選考・国外選考の両方に出願可能)
  • 人間科学部 - FACT選抜

IBディプロマの取得(見込み)者は、国外選考にも出願資格を有しているケースがあります。

英語学位プログラム(9月入学)

以下の学部で英語学位プログラムが実施されており、IBスコアを活用して出願できます。

  • 政治経済学部(SPSE)
  • 社会科学部(TAISI)
  • 国際教養学部(SILS)
  • 文化構想学部(JCulP)
  • 基幹理工学部
  • 創造理工学部

英語学位プログラムではSAT、ACT、IBDPのFinal Gradesなどの直送が必要となる場合があります。

学部ごとに求められるスコアや提出書類が異なるため、志望学部の入試要項を個別に確認してください。各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

慶應義塾大学

慶應義塾大学では、IB入試とPEARLプログラムが主な出願ルートとなります。

IB入試

慶應義塾大学のIB入試は、日本国内の高等学校または日本国内のインターナショナルスクールで国際バカロレアのディプロマを取得した(または取得見込みの)者を対象としています。法学部、経済学部、総合政策学部、環境情報学部などで実施されています。

選考では、IBディプロマの成績、志望理由書、面接などが評価されます。

PEARL(Programme in Economics for Alliances, Research and Leadership)

PEARLは経済学部に設置された英語学位プログラムで、9月入学です。出願には、IBディプロマ(最終スコアまたはPredicted Grades)、SATスコア、ACTスコアのいずれかの提出が必要です。加えて、TOEFL iBTまたはIELTSのスコアカードの提出も求められます。

PEARLの出願は年に複数回のPeriod(出願期間)が設けられています。志望理由書(英文エッセイ)の提出も必要です。

各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

上智大学

上智大学は、IB入試に非常に積極的な大学です。「国際バカロレア(IB)入学試験」として第1期と第2期の2回の募集を行っています。

IBディプロマを取得済みの者が対象で、選考では以下の書類が評価されます。

  • IBディプロマの成績証明書
  • 高等学校の調査書
  • 志望理由書
  • Extended Essay(EE)の要約およびオリジナル全文のコピー
  • TOK・CASに関するレポート
  • 事前課題(一部学科のみ)
  • TOEFL / IELTSスコア(英文学科のみ)

上智大学のIB入試では、IBの学びの成果を多面的に評価する点が特徴です。EEやTOK、CASの取り組みまで提出が求められるため、IBプログラム全体を通じた学びの質が問われます。

各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

国際基督教大学(ICU)

ICUの総合型選抜(4月入学専願)には「IBDP利用」の区分があります。

出願資格は、国際バカロレア・ディプロマの取得(見込み)で、かつ**「日本語 A」を履修済み(または履修中)であること**が条件です。日本語Aの履修が必須となっている点は、他大学のIB入試と比べて特徴的です。

出願時にはTOEFL iBT、IELTS、英検、Cambridge English Qualifications、GTECのいずれかの英語外部検定スコアの提出が必要です。

選考は第1次選考(書類審査)と第2次選考(面接)の2段階で行われます。出願は例年9月頃で、合格発表は11月頃です。

各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

立命館大学・立命館アジア太平洋大学(APU)

立命館アジア太平洋大学(APU)

APUは、IBスコアを活用した入試に積極的な大学の一つです。総合型選抜の中に「国際バカロレア(IB)選抜」が設けられており、IBディプロマを英語で取得(見込み)の者が出願できます。

IB選抜では書類審査と録画面接の結果を総合的に評価する選考が行われます。4月入学と9月入学の両方で募集があり、9月から翌年2月にかけて複数回の出願機会が用意されています。

立命館大学

立命館大学ではIBDP取得者のみを対象とした専用のIB入試は実施していないものの、グローバル教養学部をはじめ、英語で授業を受けられる環境が充実しています。AO入試や帰国生入試などの枠でIBの成績を活用できる場合があります。

各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。

関西学院大学

関西学院大学は「インターナショナル・バカロレア入学試験」をほぼ全学部で実施しており、IB生にとって門戸が非常に広い大学です。

対象学部は、神学部、文学部、社会学部、法学部、経済学部、商学部、人間福祉学部、国際学部、教育学部、総合政策学部、理学部、工学部、生命環境学部、建築学部と幅広く展開されています。

出願資格の目安

IBディプロマ(フルディプロマ)を取得済み、または取得見込みの者が対象です。取得見込みの場合、IB Predicted Scoreが一定のポイント以上であることが求められます。入学までにフルディプロマの取得が条件となります。

理系学部の科目要件

理学部や工学部の一部の学科では、数学をHL(Higher Level)で履修することが求められます。また、理系学部を志望する場合は、数学および理科からHL科目の履修が必要となるケースがあります。

各大学の公式サイトで最新の募集要項をご確認ください。


IB入試で一般的に求められるもの

大学によって要件は異なりますが、IB入試で共通して求められることの多い要素をまとめます。

1. IBディプロマの取得(または取得見込み)

ほとんどのIB入試で、IBディプロマ(フルディプロマ)の取得が出願の前提条件となります。サーティフィケートのみでは出願できない大学が多いため注意が必要です。

なお、筑波大学のようにディプロマ「取得済み」が出願条件の大学と、「取得見込み」でも出願可能な大学があります。

2. IBスコア(最終スコアまたはPredicted Score)

多くの大学ではIBの最終スコア(Final Score)またはPredicted Score(予測スコア)の提出が求められます。

スコアの目安は大学や学部によって大きく異なります。トップレベルの大学では高いスコアが期待されますが、具体的な最低点が公式に公表されていない大学も多いです。各大学の過去の合格実績や入試データを参考にしつつ、公式の募集要項を確認してください。

3. HL(Higher Level)/ SL(Standard Level)の科目指定

一部の大学・学部では、特定の科目をHL(Higher Level)で履修していることが求められます。

特に理系学部では、数学HLや理科系科目のHLが条件となるケースが多いです。文系学部でも、特定のグループからHLの履修が求められることがあります。

科目選択はDP開始前の段階で慎重に検討する必要があるため、志望大学の要件を早めに確認しておくことが重要です。

4. 志望理由書・エッセイ

ほぼ全てのIB入試で志望理由書の提出が求められます。大学によっては英文エッセイの提出が必要です。

上智大学のように、Extended Essay(EE)の全文コピーやTOK・CASに関するレポートの提出を求める大学もあります。IBでの学びの成果を具体的に示すことが重要です。

5. 英語力の証明

多くの大学で、TOEFL iBT、IELTS、英検などの英語外部検定スコアの提出が求められます。特に英語学位プログラムへの出願ではほぼ必須です。

求められるスコアの水準は大学やプログラムによって異なります。英語学位プログラムでは高い英語力が期待されるのが一般的です。

6. 面接

書類審査に加え、面接が課される大学が多いです。日本語での面接、英語での面接、またはその両方が行われる場合があります。

面接では、志望動機やIBでの学びの経験、将来の目標などが問われます。


出願スケジュールの目安

IB入試の出願スケジュールは大学によって異なりますが、大まかな流れは以下のとおりです。

4月入学の場合

時期主なイベント
6月~8月募集要項公表(多くの大学)
9月~11月出願期間(大学により異なる)
10月~12月書類審査・面接
11月~2月合格発表
4月入学

9月入学の場合(英語学位プログラムなど)

時期主なイベント
10月~4月出願期間(複数回のPeriodがある大学も)
12月~5月書類審査・面接
1月~6月合格発表
9月入学

IB最終試験の結果は例年7月初旬に発表されるため、4月入学の大学に出願する場合はPredicted Score(予測スコア)での出願となることが多いです。最終スコアが確定した後に追加提出を求められるケースもあります。

重要なポイント:

  • 出願時期は大学ごとに大きく異なるため、志望大学の出願締切を早めに確認してください
  • 書類の準備(推薦状、成績証明書の取り寄せなど)には時間がかかるため、余裕をもって準備を始めましょう
  • 複数の大学を併願する場合、出願期間が重なることがあるため、スケジュール管理が重要です

注意点

IB入試を利用する際に知っておくべき重要な注意点をまとめます。

1. 要件は毎年変更される可能性がある

大学のIB入試要件(対象学部、スコア条件、科目指定、出願期間など)は年度によって変更されることがあります。本記事の情報はあくまで参考であり、必ず各大学の公式サイトで最新の募集要項を確認してください。

東京大学PEAKのように、プログラム自体が終了するケースもあるため、早めの情報収集が重要です。

2. Predicted Score と Final Score

出願時にはPredicted Score(予測スコア)を使用する場合が多いですが、最終的にFinal Score(最終スコア)の提出が求められます。

Predicted Scoreで合格を得ても、Final Scoreが大きく下回った場合に合格が取り消しとなるケースがあります(Conditional Offerの場合)。Predicted Scoreに頼りすぎず、最終試験に向けた準備をしっかり行いましょう。

3. 併願戦略を立てる

IB入試は一般入試と出願時期が異なるため、併願戦略を立てやすいというメリットがあります。

  • IB入試と一般入試の両方を視野に入れる
  • 4月入学と9月入学を組み合わせて検討する
  • 国内大学と海外大学の併願も可能

ただし、「専願」(合格した場合に入学を確約する方式)の入試もあるため、出願前に入試方式の条件をしっかり確認してください。

4. 科目選択はDP開始前に検討を

大学によってHLで求められる科目が異なるため、DPの科目選択の段階で志望大学の要件を確認しておくことが非常に重要です。

特に理系学部を志望する場合、数学HLや理科系科目のHLが求められることが多いため、DP開始後に科目を変更するのは困難です。DP Year11-12の全体像を把握した上で、Year 11(DP1年目)が始まる前に、可能な限り志望大学の要件をリサーチしておきましょう。

5. EEやTOKも評価対象

IBのスコアだけでなく、Extended Essay(EE)やTheory of Knowledge(TOK)の取り組みが評価される大学もあります。上智大学のようにEEの全文提出を求める大学もあるため、EEの書き方TOKエッセイの高得点テクニックを参考に、質にもこだわることが大切です。


まとめ

国内のIB入試は年々拡大しており、2026年時点で82校以上の大学がIBスコアを活用した入試を実施しています。国立大学では東大、京大、大阪大、筑波大をはじめとする旧帝大クラスの大学が、私立大学では早慶上智、ICU、関西学院大学、APUなど幅広い大学がIB生を歓迎しています。

IB入試を成功させるためのポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • 早めの情報収集 - DP開始前から志望大学の要件を確認し、科目選択に反映させる
  • 公式情報の確認 - 本記事を含め、ネット上の情報はあくまで参考。必ず各大学の公式募集要項で最新の要件を確認する
  • IBプログラム全体を大切にする - スコアだけでなく、EE、TOK、CASの取り組みも評価される
  • 併願戦略 - 4月入学・9月入学、国内・海外を組み合わせた柔軟な出願計画を立てる
  • 英語力の証明 - TOEFL iBTやIELTSのスコアは多くの大学で必要。計画的に受験しておく

IBの学びは大変ですが、その経験は大学入試だけでなく、大学生活やその先のキャリアにもつながる大きな財産です。


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