北海道鹿追町の公立中学校2校がIB MYP認定 — 自治体内の全校認定は全国初
2026年3月22日 | IBニュース
2025年12月、北海道十勝地方の鹿追町(しかおいちょう)にある鹿追中学校と瓜幕中学校(うりまくちゅうがっこう)の2校が、国際バカロレア(IB)の中等教育プログラム(MYP)の認定校として正式に承認されました。1つの自治体が設置するすべての公立中学校がIB MYP認定校となるのは、全国初の事例です。
この認定は2026年1月13日に鹿追町教育委員会から発表され、教育関係者の間で大きな注目を集めています。
目次
- 目次- 鹿追町ってどんなところ?- 認定を受けた2校の紹介- なぜ公立中学校にIBを導入したのか- 認定までの歩み- 授業はどう変わった?教員の説明時間が約7割減少- 定期テストの廃止- 生徒が主役の授業へ- IB MYPとはMYPの8つの教科グループ- MYPの特徴- この認定が持つ意味1. 「選ばれた子」だけでなく「全員」がIB教育を受けられる- 2. 地方の小さな町から全国へのメッセージ- 3. 小学校への展開も視野に- IBの学習でお困りの方へ- まとめ参考リンク
目次
鹿追町ってどんなところ?
鹿追町は北海道十勝地方の北西部に位置する、人口約5,200人(令和2年国勢調査時点で5,266人)の町です。面積は404.70km²で、大雪山系のふもとに広がる自然豊かな地域です。
農業が盛んで、小麦・馬鈴薯・豆類・てんさいなどの畑作と酪農が主要産業。標高804mの然別湖(しかりべつこ)を有し、ユネスコの「とかち鹿追ジオパーク」としても知られています。
教育面では、**「幼小中高一貫教育」**を町全体で推進しているのが大きな特徴です。「探究」「英語」「環境」の3つを教育の柱に掲げ、カナダの姉妹都市ストーニープレインとの交流や、高校1年生全員のカナダ短期留学なども実施しています。
認定を受けた2校の紹介
学校名 生徒数 備考
鹿追町立鹿追中学校 114人 町の中心部に位置
鹿追町立瓜幕中学校 45人 町北部の瓜幕地区に位置
鹿追町には公立中学校がこの2校のみであり、町内のすべての中学生がIB MYPのカリキュラムに基づいた教育を受けられる環境が整いました。
なお、文部科学省IB教育推進コンソーシアムの認定校一覧にも、両校はMYP認定校として正式に掲載されています。
なぜ公立中学校にIBを導入したのか
鹿追町がIB MYPの導入を決めた最大の理由は、**「学校における授業改善」**です。
鹿追町はもともと探究学習に力を入れていましたが、一部の教員や「総合的な学習の時間」にとどまりがちでした。学校全体で探究学習を展開するための枠組みとしてIB MYPに着目し、2022年に導入を決定しました。
東洋経済education×ICTの報道によれば、同町のIBコーディネーターであるシンボ・グレン氏は次のように語っています。
「学校における授業改善が大きな目的でした。MYPで探究学習を効果的に行うことで、子どもたちのウェルビーイングを向上させることができると考えています。今、不登校は大きな問題ですが、MYPで授業を改善することで、不登校の解決にもつながると期待しています」
人口約5,200人の小さな町が、国際的な教育フレームワークを活用して教育改革に挑む姿勢は、全国の教育関係者から注目されています。
認定までの歩み
時期 出来事
2022年 鹿追町がIB MYP導入を決定
2023年春 鹿追中学校・瓜幕中学校がIB候補校に認定
2023年秋〜 IB MYPに準拠した授業へ段階的に移行
2024年度〜 完全にMYP準拠の授業を実施
2025年度 定期テストを廃止。単元ごとの探究的評価に移行
2025年11月 国際バカロレア機構(IBO)の担当官が授業視察・単元計画を確認
2025年12月 IBOより正式にMYP認定校として承認
2026年1月13日 鹿追町教育委員会が認定を公式発表
導入決定からわずか約3年で認定を取得しており、町全体が一丸となって取り組んだことがうかがえます。
授業はどう変わった?
IB MYPの導入によって、鹿追町の中学校の授業は大きく変わりました。
教員の説明時間が約7割減少
東洋経済の報道によると、以前と比べて教員の説明時間は約7割減少しました。50分間の授業で教員が説明するのは多くても15分程度。残りの時間は、生徒が主体的に考え、調べ、話し合い、表現する活動に充てられています。
定期テストの廃止
2025年度から従来の定期テストを廃止。代わりに、単元終了時に探究的な課題を通じて総括的に評価する方式に移行しました。「テストに出るから覚えて」という従来の学び方から、生徒自身が深く考えて理解する学びへと転換しています。
生徒が主役の授業へ
従来の授業では教員が一方的に説明する「教員主導型」でしたが、現在は**「生徒が主役」**の探究学習が全面的に導入されています。生徒は地域の課題と結びつけた探究活動にも取り組んでいます。
IB MYPとは
**MYP(ミドル・イヤーズ・プログラム)**は、国際バカロレア機構(IBO)が提供する教育プログラムの1つで、原則として11歳〜16歳を対象としています。
MYPの8つの教科グループ
- 言語と文学
- 言語の習得
- 個人と社会
- 理科
- 数学
- 芸術
- 保健体育
- デザイン
MYPの特徴
- 探究を通じた学び — 教員からの一方的な知識伝達ではなく、生徒自身が問いを立て、調べ、考える
- グローバルな文脈 — 現実世界の課題に基づいた学習
- 学習スキルの育成 — 思考力、コミュニケーション力、自己管理力などを体系的に育てる
- 概念に基づく学び — 教科を超えた学際的な理解を促進
- コミュニティープロジェクト・パーソナルプロジェクト — 学びを実践に結びつけるプロジェクト学習
日本国内のMYP認定校は47校(文部科学省IB教育推進コンソーシアム、2025年12月31日時点)。その中でも学区制の公立中学校としてIB認定を受けているのは全国でわずか3校のみで、鹿追町の2校はそのうちの2校を占めています。
この認定が持つ意味
鹿追町の事例が注目される理由は、いくつかあります。
1. 「選ばれた子」だけでなく「全員」がIB教育を受けられる
従来、日本のIB校はインターナショナルスクールや私立校が中心でした。鹿追町では、町内に住むすべての中学生が、特別な選抜なしにIB MYPの教育を受けることができます。
2. 地方の小さな町から全国へのメッセージ
人口約5,200人の町が国際的な教育フレームワークを導入した事例は、「IBは都市部やインターナショナルスクールだけのもの」というイメージを覆すものです。
3. 小学校への展開も視野に
教育新聞の報道によると、鹿追町は今後、町立小学校へのIB導入も視野に入れています。幼小中高一貫教育をさらに発展させ、IBの教育理念を町全体に浸透させていく方針です。
鹿追町の公式プレスリリースでは、次のように述べられています。
「IBという国際的な教育フレームワークを活用し、子どもたちが自らの人生を主体的に舵取りし、将来にわたって学び続けていける力を、地域とともに育んでまいります」
IBの学習でお困りの方へ
IBプログラムは素晴らしい教育の枠組みですが、従来の学び方との違いに戸惑うこともあるかもしれません。特にMYPからDPへ進む際には、より高度な学術的スキルが求められます。
**IB Tutors(IBT)**では、講師全員がIB卒業生。IBの学びを実際に経験した講師だからこそ、生徒一人ひとりの悩みに寄り添ったサポートが可能です。
- MYPの探究学習の進め方がわからない
- DPの科目選択で迷っている
- IA(Internal Assessment)やEE(Extended Essay)の書き方を教えてほしい
- IBの勉強と学校生活の両立が難しい
こうしたお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。IB完全特化の個別指導で、お子さまの学びをサポートします。
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まとめ
- 北海道鹿追町の鹿追中学校と瓜幕中学校が、2025年12月にIB MYP認定校として承認された
- 自治体内の全公立中学校がMYP認定を受けたのは全国初
- 2022年の導入決定から約3年で認定を取得
- 探究学習の全面導入、定期テストの廃止など、大きな教育改革を実施
- 教員の説明時間は約7割減少し、生徒主体の授業へ転換
- 今後は小学校へのIB導入も視野に入れている
- 地方の公立校でもIB教育は実現できるという、全国へのモデルケース
鹿追町の挑戦は、日本のIB教育の新しい可能性を示しています。公立校でのIB導入に関心がある方は、今後の動向にもぜひ注目してみてください。